がん保険金の支払い基準と“上皮内がん”の違いとは?ステージ・診断書・90日ルールの注意点も解説

生命保険

がんと診断された際、多くの方が生命保険やがん保険の給付対象となるかどうかに注目します。特に“上皮内がん(上皮内新生物)”と“浸潤がん”で保険金額に差が出る保険商品が多く、診断書や保険のタイミングによって支払い可否が分かれることも。この記事では、がんの診断時に注意すべき保険金の条件や、保険の見直し直後の90日ルールについて具体的に解説します。

「上皮内がん」と「がん(悪性新生物)」の違いとは?

保険業界では、がんの種類を大きく次の2つに分けて給付条件を設定しています。

  • 上皮内がん(非浸潤がん):がん細胞が上皮の内側にとどまり、基底膜を超えていない状態。一般的に軽度とされ、給付金額が半額または対象外とされる契約もあります。
  • 悪性新生物(浸潤がん):がん細胞が基底膜を超えて広がるもの。がん保険の「通常の支払い対象」となるのはこちら。

診断書の「上皮内がん」にチェックが入っていたとしても、実際の病理検査の結果やTNM分類で判断されることがあり、記載ミスがあった場合は再提出や訂正依頼が可能です。

TNM分類「T2aN0M0」とは何を意味する?

がんの進行度を示すTNM分類で「T2aN0M0」とは、以下のような状態を示します。

  • T2a:腫瘍の大きさが3〜5cmで、主要な気管支からは距離があり、肺門部には届かない
  • N0:リンパ節転移なし
  • M0:遠隔転移なし

この分類はステージ1bに該当し、明らかに“浸潤がん”=悪性新生物と判断される状況です。したがって、保険診断書に「上皮内がん」と記載されている場合、訂正申請する価値があります。

生命保険の「90日ルール」とは?

多くのがん保険には「責任開始日から90日以内にがんと診断された場合は給付対象外」とする待機期間があります。

今回のように、契約更新または見直し後に適用される新しい保障がある場合、その新契約における責任開始日と診断確定日の間が90日以上あるかが非常に重要です。

例:
・新契約適用:3月1日
・がん確定診断日:5月27日
⇒この場合、90日経過済みであれば支払対象となる可能性が高いです。ただし、がんの“発症日”や“疑いを持たれた日”が保険会社の判断材料になるケースもあるため注意が必要です。

保険会社とやり取りする際の注意点

保険金請求にあたり、以下のポイントを押さえることでトラブルを回避しやすくなります。

  • 診断書の内容と病理結果が一致しているかを確認(不一致があれば主治医に再確認)
  • 給付金の対象が「がん」か「上皮内がん」か明記されているか確認
  • 保険の契約日・責任開始日・診断確定日を明確に整理

診断書に誤記がある場合は、医療機関に再発行を依頼することで訂正が可能です。がん保険では診断名がすべてを決めるため、医師と丁寧に確認を行うことが重要です。

まとめ

がん保険の給付金支払いの可否は、「上皮内がんか否か」「責任開始日から90日が経過しているか」など、細かな条件によって大きく変わります。

今回のようにTNM分類がT2aN0M0であり、ステージ1bの肺がんと明確であれば、上皮内がんではない可能性が非常に高いため、診断書の記載内容を再確認し、必要であれば訂正依頼を行いましょう

また、保険の見直しを直前に行っていた場合は、90日ルールの起算点を確認し、保険会社に納得いくまで説明を求めることが大切です。専門家(FPや保険代理店)に相談するのも有効です。

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