「社会保険に入っていれば市民税は払わなくていい」という誤解は意外と多いものです。しかし実際には、社会保険と市民税(住民税)はまったく別の制度に基づく支払い義務です。本記事では、社会保険と市民税の違い、それぞれの支払い対象者、そして給与明細での扱いまでわかりやすく説明します。
社会保険と市民税は別物です
まず前提として、社会保険とは健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険などのことを指し、主に労働者の福利厚生を目的とした「保険制度」です。
一方で、市民税(住民税)は「前年の所得に応じてかかる地方税」で、自治体(市区町村)に納める税金です。つまり、社会保険加入の有無とは無関係に、一定の所得があれば支払義務が発生します。
社会保険に加入していても市民税は発生する理由
社会保険は「保険料」であり、保険の給付(医療・年金など)と関係しています。一方、市民税は所得に対して課される「税金」です。
会社員で社会保険に加入していても、前年度の所得が基準を超えていれば、翌年には住民税が課税されます。金額の目安は、年収が100万円を超えると住民税が発生するケースが多くなります(自治体により若干異なる)。
市民税はどうやって支払う?給与天引きと自分で納付
住民税の納付方法には以下の2種類があります。
- 特別徴収:会社が給与から天引きして納付(会社員の多くが該当)
- 普通徴収:自分で納付書により支払い(フリーランスや退職後の人など)
たとえば、転職直後や休職中に収入がなくても、前年に一定の所得があれば住民税の請求は続きます。
社会保険加入者でも市民税が0円になるケース
以下の条件に当てはまる場合、所得が非課税枠に収まるため住民税がかからないこともあります。
- 年収が100万円以下(パート・アルバイト等)
- 大学生や扶養内で働く配偶者など、控除適用後の所得が非課税ライン以下
- 退職して長期間収入がない場合
ただし、これらも自治体によって住民税の課税基準が異なるため、正確な判断は住民票のある市区町村に確認する必要があります。
実例:会社員Aさんのケース
Aさんは年収300万円の会社員。社会保険加入者ですが、毎月の給与からは以下が天引きされています。
- 健康保険料:月14,000円
- 厚生年金:月25,000円
- 住民税:月8,000円
このように社会保険料と住民税は別々に控除されており、「社会保険加入=市民税が不要」ではないことが明確です。
まとめ
✔️ 社会保険と市民税(住民税)は制度も支払先も異なる
✔️ 社会保険加入者でも所得があれば住民税の支払い義務あり
✔️ 住民税は前年の所得に基づいて課税される
✔️ 非課税枠や自治体ごとの基準も確認しておこう
税金と保険は混同しやすい分野ですが、仕組みを理解することで不安や誤解が減り、家計の見通しも立てやすくなります。
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