障害基礎年金は、精神疾患などで日常生活や就労が著しく制限される場合に支給される公的年金制度です。支給には訪問看護やヘルパーの利用が必須と思われがちですが、実際にはそれだけで判断されるわけではありません。この記事では「訪問看護だけでも受給できるのか?」という疑問について、制度の仕組みや判定基準をわかりやすく解説します。
障害基礎年金の支給条件とは
障害基礎年金を受け取るには、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
- ① 初診日の要件:20歳前または保険加入中に初診がある
- ② 保険料納付要件:原則、直近1年間に滞納がない(20歳以降)
- ③ 障害等級の要件:障害等級1級または2級に該当する程度の状態
このうち「等級の要件」が最も重要で、訪問看護やヘルパーの利用はあくまで日常生活能力を評価する1つの参考情報にすぎません。
訪問看護だけでも受給可能なケースは多い
訪問看護だけを利用している場合でも、生活や意思疎通、身辺処理に支障があることが医学的に確認されていれば、障害基礎年金の等級に該当することは十分あります。
実際に、精神疾患(うつ病・統合失調症・発達障害など)で訪問看護のみ利用しており、「一人で通院できない」「日常の買い物が困難」「服薬管理ができない」などの制限があるケースでは2級や1級と認定された例も少なくありません。
ヘルパーの有無で等級が左右される?
訪問介護(ヘルパー)の利用がない場合でも、支給が否定されるわけではありません。ただし、次のような点で判断材料が増えるのは確かです。
- ヘルパーが入っていれば、客観的に「生活に支援が必要」と判断しやすい
- 一方で、実際の困難が医師の診断書で明確に記載されていれば、ヘルパー不使用でも支給される
つまり、「支援の有無」よりも「どれだけ日常生活に支障があるか」が重要なのです。
医師の診断書の内容がカギ
年金審査で最も重視されるのが「診断書」(障害認定基準に基づく様式)です。この中には、以下の項目が詳細に評価されます。
- 日常生活能力の判定(7項目)
- 社会的適応能力
- 対人関係・意思疎通
- 服薬状況と管理能力
訪問看護や支援がない場合でも、診断書に“日常生活が一人では送れない”旨が記載されていれば、2級相当として認められることもあります。
実例:訪問看護のみで2級支給されたケース
例)30代女性、うつ病。訪問看護のみ月4回利用、自宅内での生活に支援が必要。外出や人との会話ができず、服薬も訪問看護師の管理下で対応。
→診断書で「日常生活に著しい制限あり」とされ、障害基礎年金2級が認定された。
このように、ヘルパーの有無だけに依存せず、総合的な生活困難度が評価されるのが実情です。
まとめ
精神疾患による障害基礎年金は、「訪問看護+ヘルパー」がセットでなければ受給できないということはありません。
訪問看護だけの利用でも、日常生活や就労が困難であることが医学的に確認され、診断書に明記されていれば受給の可能性は十分あります。
支給を受けるには、生活状況を丁寧に医師に伝え、客観的な支援の必要性を診断書に反映してもらうことが最大のポイントです。
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