退職時の社会保険の扱いは、企業の給与計算や社会保険料の徴収に大きく関わるため、担当者にとって重要なポイントです。特に月末付けで退職するか、月初に1日でも出勤するかで、企業・従業員双方の負担が大きく変わる場合があります。本記事では、退職日と社会保険料の関係について詳しく解説します。
社会保険の資格喪失日とは
社会保険(健康保険・厚生年金)の資格喪失日は、退職日の翌日と定められています。たとえば、7月30日退職なら喪失日は7月31日、7月31日退職なら喪失日は8月1日です。
この喪失日がいつになるかによって、保険料をどの月まで徴収するかが決まるため、企業側の給与調整にも影響が出てきます。
1日でも勤務すると「その月分」の社会保険料が発生
社会保険料は月単位で課され、1日でも在籍していればその月全体の保険料が発生します。つまり、8月1日に1時間でも勤務すると、8月分の保険料全額を徴収する必要が出てきます。
逆に、7月31日までに退職扱いにすれば、8月分の保険料は発生しないため、企業としてはコストを抑えやすくなります。
給与支払日と保険料の徴収タイミング
例えば、月末締め翌月5日支払いのケースでは、7月働いた分を8月5日に支払うことになります。その給与からは、原則として7月分の社会保険料を控除するのが通常です。
ただし、退職日が8月1日以降になると、8月分の保険料も徴収する必要が出てくるため、7月分の給与から2ヶ月分の保険料を天引きする処理が必要になることもあります。
退職日をどこに設定すべきか?企業側の判断軸
企業としては、コストと手続きの煩雑さを抑えるためにも、7月30日付退職にしておくことが合理的な場合が多いです。特に、8月1日以降は働かない、または1日だけ希望しているような場合は、従業員に制度の仕組みを丁寧に説明し、理解を得た上で調整を行うのがベストです。
具体的には、「1日だけ出勤したい理由」を確認し、業務上の必要がない場合は7月30日退職にすることを提案しやすくなります。
社会保険料の徴収と実務上の留意点
- 退職月の給与からは、原則としてその月分の保険料を控除する
- 退職日が8月以降であれば、8月分の保険料を控除する必要あり
- 控除する場合、本人に事前説明と同意を得ることが望ましい
たとえば、「1日だけ出勤したら、8月分の保険料も必要になるため、手取りが極端に少なくなる可能性があります」といった丁寧な説明が、トラブル回避につながります。
まとめ:退職日設定と社会保険料の徴収は連動している
退職日をいつに設定するかは、社会保険の資格喪失日・保険料の徴収対象月に直結します。1日でも勤務すればその月の保険料がかかるという点を理解し、従業員と協議の上で退職日を設定することが、企業にとっても従業員にとってもメリットある対応につながります。
不明点があれば、社会保険労務士や年金事務所への相談も検討しましょう。
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