障害厚生年金は、被保険者の障害状態や初診日、保険種別に応じて支給される公的年金制度です。特に被保険者が国民年金・厚生年金など複数の制度に加入していた場合、支給要件や担当する実施機関について理解が曖昧になりがちです。この記事では、複数種別の被保険者期間がある場合の障害厚生年金の取扱いについて詳しく解説します。
障害年金の支給は初診日により決定
障害年金における実施機関の判断は、初診日がどの制度の被保険者であったかによって決まります。つまり、複数の保険種別に加入歴があったとしても、支給を担当するのは初診日の時点で加入していた制度です。
たとえば、国民年金に加入していた時点での初診日であれば障害基礎年金、厚生年金に加入中での初診日であれば障害厚生年金が支給対象になります。
300月(25年)以上の加入での取り扱い
障害年金制度では、300月(25年)以上の被保険者期間があっても、複数の制度から重複して年金が支給されるわけではありません。支給はあくまで障害認定の初診日における保険制度によって決まります。
例として、国民年金200月・厚生年金150月の合計350月であっても、初診日が厚生年金加入中であれば、障害厚生年金のみの支給となります。
厚生年金に加入していた場合の優位性
初診日が厚生年金被保険者期間中であれば、原則として障害厚生年金が支給されます。これは基礎年金に加えて報酬比例部分が支給されるため、金額的に有利になるケースが多くあります。
また、3級まで支給対象になるため、国民年金制度(障害基礎年金)の2級止まりと比較してカバー範囲が広い点も特徴です。
2種以上の期間があっても併給は不可
よくある誤解として、複数の保険制度に加入していた場合に、それぞれから年金が支給されると考える人がいますが、障害年金において併給は基本的に認められていません。
たとえば、初診日が国民年金の期間であれば障害基礎年金のみ、厚生年金の期間であれば障害厚生年金(基礎部分+報酬比例)となります。過去の加入歴は受給要件の確認や支給額算定には影響しますが、実施機関が複数にまたがることはありません。
障害年金の請求時の注意点
障害年金を請求する際には、以下の点をしっかり確認しましょう。
- 初診日の正確な把握(診療録等の証明が必要)
- その時点の加入制度を明記
- 加入記録の整合性の確認(被保険者記録照会)
日本年金機構またはお近くの年金事務所で専門的な相談も可能です。
まとめ
障害厚生年金の支給判断は、初診日の時点の保険制度によって決まります。複数の被保険者期間があっても、併給や二重支給は原則としてありません。300月以上の加入歴がある場合でも、障害年金の支給は制度上の要件に従い、一つの実施機関から行われます。正確な情報収集と専門機関での確認が、スムーズな請求の第一歩です。
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