「年金制度は将来破綻するのではないか?」という不安は、テレビやSNSでも頻繁に取り上げられ、特に若年層を中心に払いたくないと感じている人が増えています。しかし、年金制度の本質や財政の仕組み、政府の方針などを正しく理解すれば、必ずしも「破綻」とは言い切れない現実も見えてきます。
「年金が破綻する」と言われる背景
年金破綻論が語られる一因は、日本の少子高齢化です。年金制度は現役世代の保険料で高齢者世代の年金を賄う「賦課方式」で運営されています。そのため、現役世代の人口が減少する一方で、高齢者の数が増えると、制度の維持に不安を感じるのも無理はありません。
加えて、国の借金や社会保障費の増大がメディアで強調されることにより、年金制度全体が不安定な印象を持たれがちです。
制度が破綻しない理由とは
実際には、政府は年金制度を「絶対に破綻させない」という前提で設計と調整を行っています。理由は単純で、年金が崩壊すれば高齢者の大多数が生活保護を必要とする事態になり、結果的に財政への負担がさらに大きくなるからです。
そのため、年金の支給額や開始年齢、保険料の改定などは、5年ごとに行われる「財政検証」によって、持続可能な形に修正され続けています。
若者世代がもらえる可能性はあるのか
「将来年金をもらえない」との声も多く聞かれますが、制度が存続する限りゼロになることは考えにくいです。ただし、支給開始年齢の引き上げや、支給額の実質的な減額(物価との比較)などが行われる可能性は十分にあります。
実際に、2025年以降はさらなる人口減少が予測されているため、若年層が将来受け取る年金は「少額になる」という予測はありますが、完全になくなることは制度上あり得ません。
年金制度の柔軟な調整機能
年金制度は定期的な制度改正により柔軟に運営されています。たとえば、物価や賃金の変動に合わせて支給額を自動調整する「マクロ経済スライド」や、加入年数の延長などが行われています。
これは、あらかじめ制度が人口減少に対応する設計になっているということの証明でもあります。
「払わない」という選択肢はリスクが高い
若者の中には、「どうせもらえないなら払わなくても良い」と考える人もいますが、それには大きなリスクがあります。年金制度には「老齢年金」だけでなく、「障害年金」「遺族年金」といった重要な社会保障が含まれています。
たとえば、事故や病気で働けなくなった場合、障害年金の受給資格を持っているかどうかは、保険料の納付実績がカギとなります。
まとめ:年金制度は破綻ではなく「調整」され続ける
日本の年金制度は、「破綻する」と言うよりも、「継続するために調整される」制度です。制度の信頼性や継続性については、定期的な財政検証と制度改正があることで、維持される構造になっています。
将来に備えるという意味でも、年金制度は生活の柱の一つであり続けます。不安を感じるなら、確定拠出年金(iDeCo)やNISAなどと組み合わせて備えることが現実的な選択肢です。
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