転職後、最初の給与明細を見て「思ったより手取りが少ない」と感じた経験はありませんか?特に前職と現職の給与支給タイミングが異なる場合、保険料や税金の控除が重なったように見えることがあります。この記事では、転職直後の給与から控除される項目と、その仕組みを丁寧に解説します。
転職月の保険料や税金はどう控除されるのか
社会保険料や所得税は、給与が支給される時点での雇用者が負担します。つまり、前職からの給与(4月分や5月前半分)には前職での保険料が、現職からの給与(5月分)には現職での保険料がかかります。
このため、転職月には「前職の最終給与」でも保険料が差し引かれ、「現職の初給与」でも再び保険料が引かれることになります。一見、二重払いのように感じますが、それぞれの給与に対応した保険料となるため制度上は正当な控除です。
社会保険料の仕組みとタイミング
社会保険料(健康保険・厚生年金など)は、通常、当月支給の給与に対して前月分を徴収するという形が多いです。ただし、企業によっては当月分を当月徴収するケースもあります。
転職月の前後では、両社からの給与に対してそれぞれの所属期間分の保険料が引かれるため、控除が重なってしまうように感じるわけです。
所得税の扱いにも注意
所得税は「源泉徴収」で給与支給時に毎月差し引かれますが、年末調整で過不足を調整する仕組みになっています。年末調整を一社のみで行った場合、前職分の所得が考慮されないこともあるため、確定申告で適正に精算するのが安心です。
例えば、前職と現職を合わせた年間所得に基づいて正確な税額を確定するため、年末に税金を多く払いすぎている場合は還付される可能性もあります。
「二重払い」と感じる理由とは?
特に転職月に「月末締め翌月払い」などの制度が絡むと、実際の勤務期間と給与支給時期がズレて、複数の給与が一度に入る月があります。このとき、一時的に控除額が高く見えてしまうのです。
また、住民税の徴収タイミングも絡むと、より複雑に感じることがあります。前職での住民税が「普通徴収(自分で払う)」に切り替わったり、現職での「特別徴収(給料天引き)」が始まったりと、重複に見える事象が発生しやすくなります。
控除額が多い月の対処法と確認ポイント
- 前職・現職それぞれの給与明細を保管し、控除内容を見比べる
- 健康保険・年金の加入履歴を確認(「資格取得・喪失」の時期)
- 住民税の納付方法が切り替わっていないか確認する
- 必要に応じて年末調整 or 確定申告を行う
とくに「給与明細に書かれた社会保険料の月数(2か月分など)」には要注目。思わぬ多重控除になっていないかを判断する手がかりになります。
まとめ:見かけ上の二重払いでも、制度上は適正な控除が行われている
転職に伴う給与の控除額が大きく見えるのは、前職と現職の制度の違いによるもので、制度上は「二重払い」には当たりません。ただし、不安がある場合は勤務先の人事や税理士に相談し、年末調整や確定申告を通じて正しく調整されるよう手配するのが安心です。
転職初年度は特に税金と保険料の動きが複雑になるため、早めの情報整理を心がけましょう。
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