年金を繰り下げて受給すると、年金額が1年あたり約8.4%増えると言われています。5年間繰り下げれば最大で42%増えることになり、一見とてもお得に見える制度です。しかし、「手取りで見ると意外と増えていない」「税金や社会保険料が増えるから損では?」という疑問を持つ方も多くいます。今回は、繰下げ受給の仕組みと、その裏にある控除・課税の影響について詳しく解説します。
繰下げ受給とは?
繰下げ受給とは、公的年金の受給開始を65歳より後ろに遅らせることで、年金額を増やす仕組みです。1ヶ月遅らせるごとに0.7%、1年で8.4%、最大で42%(70歳まで)増額されます。
例えば、65歳時点で年間120万円の年金をもらえる人が70歳まで繰り下げた場合、年間170万円弱まで増える可能性があります。これは終身でもらえるため、長生きすればするほど得になる制度とも言われます。
実際の手取り額はどうなる?
年金の受給額が増えると、それに伴い税金や社会保険料も増えることになります。例えば、住民税や所得税、さらには介護保険料や後期高齢者医療保険料などが引かれることになります。
そのため、額面では年金が増えていても、実際の手取りで見ると「思ったより増えていない」と感じる方が多いのが現実です。特に控除の対象になる金額が少ない高齢者の場合、課税対象となる部分が多くなりやすい傾向にあります。
繰下げ受給が向いている人・向いていない人
繰下げ受給が向いているのは、以下のような方です。
- 健康に自信があり、長生きの見込みがある
- 65歳以降も働いて収入があるため、すぐに年金を必要としない
- 年金以外の資産・貯蓄に余裕がある
逆に、以下のような方には不向きな場合もあります。
- 病気や健康に不安がある
- 65歳以降の収入が少なく、生活費に年金をすぐ使いたい
- 繰下げによって手取りの増加が少なく感じる
「繰下げは詐欺では?」という疑問について
ネット上では「実際に繰下げても手取りが少なくて詐欺に感じる」「増えた分の説明が不十分」といった声も見かけますが、制度自体は法律に基づいた仕組みです。
ただし、制度の仕組みを十分に理解しないまま手続きをしてしまうと、「思っていたのと違った」と感じる可能性はあります。国の制度である以上、説明責任は当然求められるものの、最終的な判断は個人に委ねられているのが現状です。
繰下げ受給を選ぶ前に確認すべきこと
繰下げ受給を検討する際には、次のポイントを確認しておくと安心です。
- 繰下げ後の年金額(日本年金機構の試算シミュレーターなどを利用)
- 課税後の手取り金額(税理士など専門家の意見も参考に)
- 将来の医療・介護費用や生活費の見通し
- 配偶者の年金受給タイミングや家庭の資産状況
これらを踏まえて総合的に判断することで、損のない選択ができます。
まとめ
年金の繰下げ受給は、表面上は「年8.4%ずつ増えてお得」に見えますが、実際には税金や保険料による手取りの減少を加味する必要があります。制度の特徴やリスクをしっかり理解し、ライフプランに合わせた判断が大切です。迷った場合は、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーなど専門家に相談するのがおすすめです。
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