働き方が多様化する中で、ダブルワークや複業を行う人が増えています。中でも「複数の勤務先の労働時間を合計すれば週20時間を超えるが、個々の勤務先では20時間未満」というケースで、雇用保険に加入できるかどうか気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、雇用保険の加入要件と、ダブルワークにおける扱いをわかりやすく解説します。
雇用保険の加入条件とは?
雇用保険は、原則として以下の条件を満たすと加入対象となります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
- 31日以上の雇用見込みがある
この要件はあくまで「1つの事業所ごと」に判断されます。つまり、たとえ複数の職場を掛け持ちしており、合算すると週20時間を超えるとしても、それぞれの勤務先で個別に要件を満たしていなければ、雇用保険への加入対象にはなりません。
複数の勤務先で週20時間未満のケース
たとえば以下のような勤務状況を考えてみましょう。
- A社:週10時間勤務
- B社:週12時間勤務
- 合計:週22時間
この場合、A社でもB社でもそれぞれ週20時間未満のため、どちらの勤務先でも雇用保険に加入できません。現在の制度では、複数勤務先の時間を合算しての加入は認められていないのが現実です。
「マルチジョブホルダー制度」とは?
2022年1月から導入された新制度として、「マルチジョブホルダー制度」があります。これは高年齢者を対象に、複数の勤務先で働く場合に、一定条件を満たせば雇用保険に加入できる仕組みです。
この制度の対象は以下の通りです。
- 65歳以上
- 2つ以上の事業所で合計週20時間以上働いている
- それぞれの勤務先で31日以上の雇用見込みがある
つまり、64歳以下の現役世代にはまだこの制度は適用されません。
雇用保険に加入したいときの選択肢
雇用保険に加入したい場合は、以下のいずれかの方法を検討しましょう。
- いずれかの勤務先で週20時間以上働くようシフトを調整
- 契約内容を変更して、20時間以上かつ継続勤務見込みを得る
- 将来的にマルチジョブホルダー制度の対象拡大を見越して継続勤務
勤務時間の調整については、労働条件通知書や雇用契約書での確認・変更手続きが必要です。
雇用保険の加入メリットとは
雇用保険に加入することで、以下のような給付や支援が受けられます。
- 失業給付(基本手当)
- 育児休業給付金
- 介護休業給付金
- 教育訓練給付金
これらの支援は、離職やライフイベント時の生活保障に大きな役割を果たします。特にパートやアルバイトでも条件を満たせば対象となるため、加入可能な勤務形態を選ぶことは将来的な安心にもつながります。
まとめ
ダブルワークでそれぞれの職場が週20時間未満の場合、現行制度では雇用保険に加入することはできません。ただし、1つの勤務先で20時間以上働けば加入資格を得られます。制度の仕組みや新たな制度の動向も踏まえつつ、自分の働き方と将来への備えを考慮して、必要に応じて労働条件の見直しも検討してみましょう。
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