一般の方に比べて、医師や看護師、薬剤師などの医療職の中には、民間の医療保険やがん保険に加入していない方も少なくありません。それには専門的な知識や現場経験に基づく、独自の判断基準が影響していることが多いようです。本記事では、医療職がなぜ保険加入に慎重なのか、現場で得られる知見をもとに解説します。
公的医療保険の仕組みと十分性への理解
医療職は、健康保険制度や高額療養費制度などの公的支援制度に詳しく、実際の治療費負担がどの程度かを把握していることが多いです。多くの人が「入院=高額出費」と考える中で、医療職は「限度額適用認定証」などを利用すれば自己負担が抑えられることを実体験や知識で理解しています。
たとえば、一般的な会社員が入院し手術を受けた場合でも、保険診療内の費用なら高額療養費制度によって、1ヵ月の自己負担額が8万円程度で済むケースもあります。
実際の入院・治療の現場を知っている
病院内で働く医療職は、日々多くの入院患者を目の当たりにしています。その中で、どのようなケースが重症化しやすく、どの治療にお金がかかるのかなど、肌感覚で知っているため、自分がどのリスクに備えるべきか明確です。
がん保険に関しても、抗がん剤治療や放射線治療がすべて保険適用であることや、最近では入院日数が短縮傾向にある点などから「そこまで備える必要があるか?」と疑問を持つ医療職もいます。
貯蓄や収入の安定性を背景にした判断
医師や看護師、薬剤師は比較的安定した職種であり、一定の貯蓄がある場合、保険で補償を買うよりも自己負担で対応しようと考える方がいます。特に若い世代では、「掛け捨て型の保険料がもったいない」と感じる傾向もあるようです。
たとえば、月額3,000円の保険料を20年間支払えば、支払総額は72万円となります。これを貯蓄に回した方が柔軟に使えると考える方も多くいます。
保険加入の必要性を感じるケースも
もちろんすべての医療職が保険不要と考えているわけではありません。自由診療や先進医療を希望する場合や、長期療養や収入減に備えたい場合は、民間保険に加入する方もいます。
特にフリーランス医師や開業医の場合、公的保障が少ないことから所得補償保険や就業不能保険に加入するケースも見られます。
医療職の体験談:保険に入らない理由
「看護師として働いていますが、高額療養費制度や傷病手当金などでカバーできると感じているため、医療保険には入っていません。もし必要なら、その分は貯蓄で備えています。」
「医師の夫と相談したところ、若いうちは貯蓄で備える方針にしました。必要になればその時点で検討する予定です。」
まとめ:医療保険に入らないのは知識と判断の結果
医療職が医療保険やがん保険に入らないのは、制度への理解とリスクに対する合理的な判断によるものです。公的保障の限界を理解しつつ、収入やライフスタイルに応じて必要性を見極めているといえるでしょう。一般の方も、自身の健康リスクや貯蓄状況、公的制度の仕組みを理解したうえで保険の必要性を検討することが大切です。
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