近年では業務スーパーや量販店などでの仕入れにおいて、個人名義のポイントカードを利用することも一般的です。しかし、会社の経費で支払った買い物で発生したポイントが「個人のもの」と言えるのかどうかについては、実務上もモヤモヤする場面が多くあります。本記事では、仕入れとポイントの関係について、法的・実務的な観点からわかりやすく解説します。
会社の支払い=会社のもの?原則から考える
まず大前提として、仕入れ費用を会社の経費で支払った場合、その支出の成果物(=ここではポイント)も会社に帰属するのが原則です。
たとえば、会社のクレジットカードで支払ったり、立て替え精算して後で会社から全額補填を受けた場合は、形式的には「会社の支払い」となります。
その場合、「ポイントも会社に帰属すべきでは?」という見方が法的にも合理的です。
ポイントカードが個人名義の場合の扱い
一方で、今回のように「自分の判断で個人名義のポイントカードを作って使っていた」場合、そこには少しグレーな面もあります。
会社からポイントカードの指示がなく、個人判断で作ったものであれば、実質的には個人のものと考えられることもあります。
ただし、それが大きな金額になっていたり、会社側に「ポイントも業務に使うべき」との意向があれば、後にトラブルになるリスクもあります。
実例:業務スーパーの仕入れで貯めたポイント
たとえば、業務スーパーア◯カで飲食店の仕入れをしていて、毎月数万円〜数十万円の仕入れがあるとします。
これを数ヶ月続ければ、数千〜数万ポイントになる可能性もあります。このような場合、個人で貯めていたポイントが「不当な利益」と見なされるリスクもあるため、社内での取り扱いルールの明確化が望まれます。
トラブルを避けるために:ポイントの取り扱いを決めておく
企業によっては、福利厚生として従業員にポイントを還元するなど柔軟に対応している場合もありますが、そうでない場合は以下の対策が必要です。
- 就業規則や社内ルールで「ポイントは会社帰属」などの方針を明記
- 明文化されていない場合でも、上司や経理担当に確認を取っておく
- 「ポイントは私用利用不可」という暗黙の合意がないかを確認する
こうしたルールを共有しておくことで、後から「私的流用」などと問題視されるリスクを回避できます。
税務面の観点:所得扱いされる可能性も?
ポイントを個人で取得・利用した場合、条件によっては「経済的利益」と見なされ、給与課税対象になる可能性もあります。
例えば、毎月1万ポイントを個人が取得し、私的に使っていた場合、それが継続していれば年12万円の利益として見なされることも理論上あり得ます。
こうした事態を避けるためにも、会社と協議してポイント利用の透明性を保つことが重要です。
まとめ:ポイントの帰属は事前の認識と運用がカギ
会社の仕入れで貯めたポイントが個人のものになるかどうかは、「誰が支払い、誰の指示で貯めたか」「会社が認識していたか」によって異なります。
モヤモヤしないためには、事前に上司や経理と確認し、社内ルールをすり合わせておくことが最も大切です。
個人の判断で作ったカードでも、「会社支払いでポイントを得た」という構造があるならば、リスク管理の観点から明示的な合意を取っておきましょう。
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