月初の退職で厚生年金はどうなる?数日勤務でも保険料が発生する仕組みと損得の考え方

社会保険

会社を月初に数日だけ勤務してすぐに退職した場合、厚生年金保険料が1ヶ月分発生するという話を聞いて不安になる方も多いのではないでしょうか。特に試用期間中の早期退職であれば、「数日働いただけで数万円の保険料負担になるなんて…」と感じるのも無理はありません。この記事では、月初の退職時に厚生年金がどう扱われるのか、その仕組みと損得の判断ポイントを解説します。

厚生年金の保険料は「月単位」で計算される

厚生年金の保険料は、実際の勤務日数にかかわらず「月単位」で発生します。つまり、たとえ1日だけ働いて辞めた場合でも、その月の1日以降に在籍していたなら、1ヶ月分の保険料が徴収される仕組みです。

これは「資格取得日が月の1日を含むかどうか」で判断されるため、月の1日以降に在籍=1ヶ月分の保険料が発生というルールになります。逆に言えば、「月末で退職」すれば、その月は対象にならないということです。

試用期間中の退職でも厚生年金加入対象になるのか

試用期間であっても、労働契約を結び、所定の労働条件を満たしていれば、原則として厚生年金の加入対象となります。たとえば、1日8時間・週5日勤務のような正社員並みの働き方であれば、試用期間であっても社会保険の加入が義務付けられます。

そのため、「試用期間だから保険料は発生しない」とは限らず、在籍期間が1日でもその月の保険料が生じるという点に注意が必要です。

会社の提案する「前倒し退職」は合法か?

会社から「退職日を月初から月末に前倒しし、社会保険に入らずに処理した方が良いのでは」と提案されるケースもありますが、これは注意が必要です。前倒しすることで保険料の発生を避けられる可能性はありますが、実際の労働があったにもかかわらず日付を改ざんすることは原則違法です。

たとえば、「実際には7月2日まで働いたが、退職日は6月30日に変更して処理する」といった場合、労働実態と書類の整合性が取れず、後にトラブルになる可能性があります。年金事務所や税務署の調査が入れば、過少申告として問題視されることもあります。

数日で約3.5万円の厚生年金、払い損なのか?

月初に数日働いただけで発生する約3.5万円(会社と折半で計7万円)の保険料は確かに負担に感じるかもしれません。しかし、これは「払い損」ではありません。なぜなら、加入月数が将来の年金受給額に反映されるからです。

厚生年金は原則として加入月数に応じて年金額が計算されるため、たとえ1ヶ月分でも記録が残れば、その分老後の年金受給額に上乗せされます。また、厚生年金に加入していたという履歴は、国民年金よりも高い給付水準に反映される可能性があります。

損得だけで判断するのではなく、法的整合性も重視を

保険料の発生を避けたいという気持ちは理解できますが、労働実態と合わない退職日を設定することは、リスクを伴います。もし前倒し退職を検討するならば、実際に月末までに退職するようにシフトを調整するなど、適法な形で対応するのが賢明です。

また、1ヶ月分の厚生年金保険料が気になる場合は、日本年金機構のサイトで自身の年金記録を確認し、長期的な視点での損得を考えることも大切です。

まとめ:月初退職でも厚生年金は発生、だが「払い損」とは限らない

月の初めに数日働いただけでも、厚生年金は1ヶ月分の保険料が発生します。これは制度上の仕組みであり、たとえ数日勤務でも将来の年金額に影響する「加入実績」として扱われます。

保険料負担を回避するために退職日を前倒しすることは慎重に判断し、労働実態との整合性を意識した対応を行いましょう。短期的なコストだけでなく、将来の年金受給の安心にもつながるという視点が重要です。

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