大学生がアルバイトなどで収入を得る場合、気になるのが「扶養から外れるかどうか」という点です。特に年収が103万円を超えるかどうか、そして「勤労学生控除」の活用が重要な判断基準になります。本記事では、扶養控除と勤労学生控除の違いや、後から申請できるのかといった点をわかりやすく解説します。
扶養の仕組み:所得税・住民税・健康保険の3つの観点
「扶養に入っている」といっても、その定義は3つの制度ごとに異なります。
- 所得税の扶養控除:子どもの所得が38万円(給与所得控除後)以下
- 住民税の扶養控除:子どもの所得が45万円以下
- 健康保険の扶養:親の年収の半分未満で、生計を共にしていること
特に所得税の扶養は、学生アルバイトの年収が103万円以下なら問題ありませんが、それを超えると親の扶養から外れてしまう可能性があります。ただし、「勤労学生控除」が適用されれば、年収130万円未満まで扶養にとどまれるケースもあります。
勤労学生控除とは?年収103万円超でもセーフな制度
勤労学生控除は、勉学を本分とする学生が働いて得た収入に対する税負担を軽減する制度です。主な要件は以下の通りです。
- 給与所得などの勤労による所得があること
- 所得の合計が75万円(給与なら130万円)以下であること
- 特定の学校に通う学生であること
例えば、大学4年生でアルバイト年収が103万円だった場合、給与所得控除55万円を引いた所得が48万円。そこから勤労学生控除27万円を引いても21万円の所得であり、扶養の条件は満たす可能性が高いです。
勤労学生控除の申告忘れに気づいたら:今からでもできる対処法
確定申告時に「勤労学生」にチェックを入れ忘れてしまった場合でも、5年間は「更正の請求」が可能です。つまり、税務署に訂正の申請をすれば、控除が適用され、親の扶養控除も維持できるケースがあります。
手続きには、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から再提出するか、最寄りの税務署で相談・申請します。必要に応じて、在学証明書や学生証のコピーなどの書類提出も求められます。
親の扶養控除への影響と注意点
自分自身に勤労学生控除が適用されると、親の「扶養控除」の判定に直接影響します。学生であれば、103万円を超えても「扶養から外れない」可能性があるのはこの制度によるものです。
ただし、親が勤務先で年末調整を受けていた場合、子どもの収入によっては親の税金が後から追加で発生する可能性もあるため、注意が必要です。
具体例:勤労学生控除があるとどう変わる?
大学4年生のBさんが年間給与収入103万円だった場合、勤労学生控除を申請しないと親の扶養から外れます。ところが申請すれば、所得が38万円以下としてカウントされ、扶養が維持されます。
仮に控除を忘れていても、税務署に「更正の請求」をすれば扶養状態を回復できるため、諦めずに手続きを進めましょう。
まとめ:忘れていても「勤労学生控除」は取り戻せる
扶養から外れるかどうかは、年収だけでなく「申告内容」や「控除の有無」に大きく左右されます。勤労学生控除は、制度を正しく理解していれば強い味方になります。
万が一申告を忘れても、更正の請求という制度で後から修正が可能です。税務署に早めに相談し、親子ともに税負担を最小限に抑える行動を取りましょう。
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