60歳を迎えるタイミングで年金の繰上げ受給を検討している方は少なくありません。さらにアルバイト等で就労を続けている場合、社会保険の加入や国民健康保険への切り替え、収入とのバランスなど、考えるべき要素は多岐にわたります。今回は、年金繰上げと働き方をどう両立させるかをテーマに、判断材料や注意点を解説します。
60歳から年金繰上げ受給するメリットとデメリット
年金を60歳から受給すると、繰上げ分として1ヶ月あたり0.4%減額され、最大で24%減額されることになります。60歳からの受給は収入の早期安定につながる一方、生涯受給額で見ると損になる可能性もあります。
たとえば、年金満額が月6.5万円だと仮定すると、繰上げにより5万円程度に減額されます。健康で長生きする見込みがある場合は、繰上げよりも受給開始を遅らせる方が経済的には有利になることもあります。
現在の収入と繰上げ後の年金額を合わせて生活設計
アルバイト収入が月12万円、年金が繰上げで月5万円なら、合計で月17万円の手取りが見込めます。これが自身の生活費や予備費に対してどの程度余裕があるかが重要な判断材料になります。
また、収入に応じて住民税・健康保険料・介護保険料も変わるため、受給額の手取りベースでの確認も忘れずに。
社保と国保、どちらが得か?切り替えるべきタイミング
アルバイト先で週30時間以上働き、所定条件を満たしているなら、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することになります。これは将来の年金受給額を上乗せする効果があり、医療費自己負担も軽減されるため、原則としてメリットが大きいです。
ただし、社保加入によって保険料負担が重くなる場合や、勤務時間が減った場合などは、国保への切り替えを検討するのも一手です。切り替える際は退職証明書や市区町村での手続きが必要です。
年金受給と労働収入のバランス:在職老齢年金の仕組み
60歳から64歳の間に年金を受け取りながら働くと、「在職老齢年金」のルールが適用されます。給与と年金の合計が月28万円を超えると、超過分に応じて年金の一部が減額される仕組みです。
現在の収入が12万円+年金5万円で17万円であれば、在職老齢年金の基準額以下なので、減額対象にはならない可能性が高いです。ただし将来収入が上がる場合は注意が必要です。
繰上げ前に検討しておきたい4つのチェックポイント
- 現在の生活費と支出の内訳を明確に
- 健康状態と就労の継続性
- 貯金や資産の有無
- 社保・国保それぞれの保険料と給付の比較
これらを踏まえた上で、繰上げを「今すぐする」のか「もう少し様子を見る」のかを検討しましょう。
まとめ:早めの受給は柔軟なライフプランと合わせて
・60歳からの年金繰上げは減額リスクもあるが、収入確保という安心感も
・社保と国保、どちらが得かは就労条件・保険料負担で異なる
・在職老齢年金制度も確認し、減額にならないよう注意
・年金事務所や市町村の社会保険窓口で個別相談するのがおすすめ
将来を見据えた判断をすることで、より安定したセカンドライフが描けます。
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