障害年金の加算や児童扶養手当の制度は、それぞれ目的が異なる公的給付ですが、生活実態が複雑な家庭では両方を受給できるのか迷うケースがあります。特に内縁関係にある場合や住民票上で世帯が別々になっているケースでは、制度の適用に差が出る可能性もあります。本記事では、障害年金の加算を受けながら児童扶養手当を受給できるかについて、制度の仕組みと併給の可否を詳しく解説します。
障害年金の配偶者・子の加算とは?
障害基礎年金・障害厚生年金には、一定の条件を満たすと「配偶者加算」「子の加算」が付きます。これは障害者本人の生活支援だけでなく、扶養家族の生活も支えるための措置です。
加算対象となる「配偶者」には、法律婚に限らず内縁関係でも一定の要件を満たすことで含まれる場合があります。たとえば、同居実態があり生計が同一と認められるケースなどです。
児童扶養手当の受給条件と制限
児童扶養手当は、原則として「父母のいずれかがいない」「離婚などによりひとり親となった」場合に、その子を養育する親に支給される制度です。ただし、内縁関係や同居人が「事実上の婚姻関係にある」と判断されると、受給が制限または停止されることがあります。
つまり、住民票が別々でも、実態として「ひとり親ではない」とみなされれば、手当が停止される可能性があるという点に注意が必要です。
併給は可能?両制度の違いと重複の取り扱い
障害年金の加算は、障害者本人の年金額に家族の存在を加味して上乗せする制度であり、一方の児童扶養手当は「ひとり親世帯」に対する福祉的支援です。そのため、制度目的が異なることから、原則として同時に受給できる仕組みにはなっています。
ただし、実態として「ひとり親」ではないと認定されるような場合、児童扶養手当の支給が一部または全額停止になることがあります。特に、市町村が年に一度行う現況届に基づく調査で「婚姻関係に準ずる状態」と判断された場合が該当します。
実例:住民票が別でも児童扶養手当が停止されたケース
たとえば、母親と子どもが住民票を実家に置いたまま、実際には内縁の男性と同居していたケースでは、役所から同居実態を問われ、結果的に児童扶養手当が全額停止されたという事例があります。
このように、住民票の分離は一つの判断材料に過ぎず、生活実態が判断の中心になります。逆に、同居していなければ内縁関係であっても手当の支給が続く可能性もあるため、生活の実態とその証拠(家計の分離、別居実態など)が大きなポイントとなります。
役所の判断基準と確認ポイント
- 住民票が分かれていても同居していれば「事実婚」とされる可能性
- 同一住所に居住していなくても、経済的援助の有無や交流状況もチェックされる
- 障害年金の加算と児童扶養手当が「重複受給」として禁止されているわけではない
- 市町村による個別判断が大きく影響する
受給継続のためには、現況届提出時に誤解を招かないよう、正確に実態を伝えることが大切です。
まとめ:両制度は併給可能だが生活実態がカギを握る
障害年金の加算と児童扶養手当は、制度目的が異なるため形式的には併給が可能です。ただし、実態として「ひとり親」と見なされない場合は、児童扶養手当が制限される可能性があります。特に内縁関係や住民票の分離など、複雑な状況では役所への説明責任が問われます。
両方の給付を適切に受け取るためには、自身の生活実態と制度の要件を照らし合わせ、必要に応じて自治体に相談しながら進めることが重要です。
コメント