会社に入社して間もないタイミングで病気やけがにより働けなくなった場合でも、健康保険に加入していれば「傷病手当金」を受け取ることができます。ただし、給与の履歴が少ない、または全くないケースでは、その支給額の算出方法に不安を抱える方も少なくありません。
傷病手当金の基本的な仕組み
傷病手当金は、病気やけがで就労できない期間に対して、標準報酬日額の3分の2が最長1年6か月支給される制度です。原則として、連続する3日間の待期期間を経た4日目以降からの休業に対して支給されます。
標準報酬日額とは、過去の給与に基づいて定められる日額で、月給制の場合は「直近12か月間の平均標準報酬月額 ÷ 30」で計算されます。
給与履歴がない・少ない場合の取り扱い
入社直後などで標準報酬月額が決まっていない場合には、通常、健康保険に加入したときの「報酬月額(資格取得時の届出額)」が基準になります。つまり、会社が健康保険の資格取得届を提出する際に申告した給与見込み額がベースになるのです。
例えば、時給1,200円で1日8時間、月20日勤務を予定していた場合、「1,200円 × 8時間 × 20日 = 192,000円」が報酬月額として届け出られる可能性があり、これが標準報酬月額の参考になります。
標準報酬月額と支給額の関係
標準報酬月額は報酬月額をもとに一定の等級に区分され、例えば192,000円であれば18等級(標準報酬月額190,000円)に該当します。そこから1日あたりの標準報酬日額を算出し、その3分の2が傷病手当金の1日あたりの支給額になります。
例:標準報酬月額190,000円 ÷ 30日 × 2/3 ≒ 4,222円/日(支給見込額)
よくある誤解と注意点
「6か月の平均で計算される」との記載をよく見かけますが、これは主に標準報酬月額が定まっている継続就労者の場合です。入社直後ではこの計算は適用されず、資格取得時の報酬をもとにした算定になります。
また、時給制で勤務日数が不定の場合など、報酬の変動が大きいケースでは、健康保険組合によって異なる判断をすることもありますので、具体的な金額や対応は必ず保険者に確認することが重要です。
確認すべき窓口と対応の流れ
傷病手当金の申請は、まず勤務先の人事・総務担当に相談するのが一般的です。健康保険証に記載されている保険者(協会けんぽや健康保険組合)に問い合わせることで、具体的な支給額や必要書類についての指導が受けられます。
保険者によって取り扱いの細部が異なることがあるため、不明点は早めに相談することが安心につながります。
まとめ:入社間もない時期でも支給対象となる
たとえ入社直後であっても、健康保険に加入していて、要件を満たせば傷病手当金は受け取れます。給与履歴がない場合でも「資格取得時の報酬額」を基準として支給額が算定されるため、早めに職場または保険者に相談することでスムーズな手続きが可能です。
正確な情報を得て、必要な手続きを確実に進めましょう。
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