年金の受給開始年齢を繰り上げることで、受け取る金額がどのように変動するのか、また在職中に年金を受け取る場合、どのように調整されるのかは多くの人が気になるポイントです。本記事では、年金繰り上げ受給による減額や復活、在職老齢年金制度の変更について、具体的な計算例を交えて解説します。
年金繰り上げ受給による減額の計算方法
年金の繰り上げ受給は、受給開始年齢を遅らせる代わりに、受給額が増える制度です。しかし、逆に受給開始を早めると、年金額は減額されます。具体的には、受給開始年齢を1ヶ月繰り上げるごとに0.4%の減額が行われ、最大で30%減額されることになります。
質問のケースでは、65歳で年額200万円の年金を受け取る場合、63歳で受給を開始することになります。これにより、200万円に90.4%(0.4%×24ヶ月=9.6%)を適用した金額が支給されるため、最終的に受け取る額は180.8万円となります。
繰り上げ受給のメリットとデメリット
繰り上げ受給をすることで、年金額が減額される一方で、早期に年金を受け取れるというメリットがあります。しかし、減額された年金がどの程度補填されるのかをしっかりと理解しておく必要があります。
例えば、繰り上げ受給後に年金額が減額されても、その後の経済状況や収入が安定していれば、早期に受け取ることで得られる現金の流れが生活にプラスになる場合があります。反対に、減額される金額が大きく感じられる場合は、繰り上げ受給を避ける方がよいかもしれません。
厚生年金の経過的加算と受給額の復活
質問のケースでは、60歳から65歳までの間に月平均40万円の月収で厚生年金を納付しているという前提です。この場合、厚生年金の経過的加算が適用される可能性があります。経過的加算は、過去に収めた厚生年金保険料に基づいて、年金額が調整される制度です。
65歳以降の年金額が復活するかどうかは、経過的加算がどのように適用されるかに依存します。具体的には、追加で支払った厚生年金保険料が、年金の支給額に反映される形になります。そのため、通常の年金額が減額されたとしても、経過的加算により、受け取る金額がある程度復活する可能性はあります。
在職老齢年金と支給停止の条件
在職老齢年金は、年金を受け取っている状態で仕事を続けている場合に、収入が一定額を超えると年金が減額または支給停止になる制度です。現在は、月収50万円を超えると超過分が支給停止になりますが、2026年にはこの基準額が62万円に引き上げられる予定です。
そのため、月収が50万円を超える場合でも、2026年以降は収入の一部が年金に影響を与えることが少なくなります。質問者のケースでは、繰り上げ受給によって年金を早期に受け取ることができ、さらに月収がある程度の幅を持つことで、年金の減額が少なくなる可能性があります。
繰り上げ受給のタイミングと年金額の最適化
繰り上げ受給を行うかどうかは、個人のライフプランや収入状況に大きく影響されます。もし、年金受給を早く開始することで得られる金額が生活に十分な余裕を持たせる場合、繰り上げ受給は一つの選択肢となります。特に、月収が安定して高い場合には、年金の繰り上げ受給による減額があまり大きな影響を与えないこともあります。
逆に、年金の減額が生活に大きな影響を与える場合は、繰り上げ受給を避け、定年後に年金をフルに受け取る方が良い場合もあります。
まとめ
年金の繰り上げ受給は、年金額の減額と引き換えに、早期に年金を受け取ることができるというメリットがあります。しかし、減額分がどの程度復活するか、また月収の影響を受ける在職老齢年金の条件も考慮する必要があります。繰り上げ受給をするかどうかは、個々の状況に応じて慎重に判断することが重要です。
年金額の最適化を図るためには、今後の収入見込みや生活設計をしっかりと考慮した上で、繰り上げ受給をするかどうかを決めることをお勧めします。
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