年金の受給額が突然減ってしまい驚かれる方は少なくありません。特に「配偶者加算」の終了や変更は、知らないと生活設計に大きな影響を及ぼす要因の一つです。本記事では、配偶者加算の仕組みや減額の理由、支給額の構成例、そして生活を支えるための対策について詳しく解説します。
配偶者加算とは?支給の条件と計算の仕組み
「配偶者加算」は厚生年金の加給年金の一部で、主に以下の条件に当てはまる場合に支給されます。
- 年金を受給する本人が65歳未満である
- 配偶者が65歳未満で、一定の収入(年収850万円未満など)を超えていない
- 本人の厚生年金の加入期間が20年以上ある
この加算額は年額約39万円程度(令和6年度)です。しかし、配偶者が65歳に達すると配偶者本人が老齢基礎年金を受け取る側となるため、加算は終了となります。
年金支給額の構成はこうなっている
年金の支給額は、主に以下の構成から成り立っています。
構成要素 | 内容 |
---|---|
老齢基礎年金 | 国民年金の加入期間に応じた金額(最大約80万円/年) |
老齢厚生年金 | 会社員等として厚生年金に加入していた期間に応じて支給 |
加給年金(配偶者加算) | 配偶者や子が一定の条件を満たす場合に加算 |
例えば、平均標準報酬月額30万円で40年間加入していた場合、老齢厚生年金は約70〜80万円/年になることが多く、配偶者加算を含めて100万円前後の支給になります。配偶者が65歳になることでこの約39万円がなくなり、約30%の減額となる計算です。
最低保証支給額は存在するのか?
現在の日本の年金制度には「最低保証年金」という制度は明確には存在していません。ただし、年金のみで生活が困難な方には、以下のような支援策が用意されています。
- 生活保護:資産・収入が一定以下の場合に受給可能
- 高齢者向け福祉手当:一部自治体で支給されている支援金
- 住民税非課税世帯向け減免:医療費や介護保険料の軽減制度など
したがって、配偶者加算の終了により大幅に収入が減ってしまった場合は、各自治体の福祉窓口などに早めに相談することが重要です。
実際の支給額変動の事例
以下は、配偶者加算の終了による支給額の変化の一例です。
条件 | 年金支給額 |
---|---|
本人:68歳、厚生年金加入40年、平均報酬30万円 配偶者:63歳(加算対象) |
約100万円/年 |
配偶者が65歳になり、加算終了 | 約67万円/年(-33万円) |
このように、配偶者加算の有無で年間収入は大きく変動します。
将来への備えと対策
加算が終了した後の生活資金の確保には、以下の方法も検討しておきたいところです。
- 個人年金保険の利用:老後の資金の分散確保
- iDeCoやNISA:税制優遇のある自助努力制度
- リバースモーゲージの活用:持ち家を担保に資金調達
また、今後の公的制度改正にも注目し、自分にとって使える制度を定期的に確認しましょう。
まとめ:配偶者加算の終了は制度上の必然。今後の生活設計を見直そう
配偶者加算は、あくまで「一定条件のもと65歳未満の配偶者がいる場合」に支給される加算です。配偶者が65歳になると制度上自動的に加算は終了します。そのため、減額は不正ではなくルール通りの措置なのです。
ただし、生活に支障をきたす場合は、他の制度や支援を受けることで補えることもあります。家計見直しと公的支援制度の確認を同時に行うことで、より安心できる老後設計が可能になります。
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