医療費が高額になることが予想される場合、「高額療養費制度」をうまく活用することで自己負担額を大幅に軽減できます。特に最近では、マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、事前の手続きを省略し、窓口負担を限度額までに抑えることが可能となりました。本記事では、その仕組みと注意点を解説します。
高額療養費制度とは?基本の仕組み
高額療養費制度は、公的医療保険に加入している方が1カ月に支払う医療費(自己負担額)が高額になった場合、所得に応じた自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度です。
たとえば70歳未満の一般的な収入(区分ウ)の場合、自己負担限度額は約80,100円+(医療費−267,000円)×1%という計算式で決まります。これを超える分は、後日申請により払い戻されます。
「限度額適用認定証」なしでもマイナ保険証で自己負担を抑えられる
これまでは医療費の窓口負担を限度額までに抑えるには、保険者に「限度額適用認定証」を申請・取得し、医療機関に提示する必要がありました。しかし、現在ではマイナ保険証を利用している場合、原則として認定証が不要となっています。
マイナンバーカードと保険証を連携させた状態で医療機関を受診すれば、自動的に所得区分に応じた自己負担限度額が適用されます。
すべての所得区分に適用されるのか?
マイナ保険証を通じての限度額適用は、原則すべての所得区分に対応しています。ただし、被保険者の所得情報が自治体や保険者でまだ処理されていない場合など、ごく一部のケースでは「確認中」となり、全額支払いが必要になることもあります。
また、マイナ保険証の利用が未登録の場合や、病院側がマイナ受付に対応していない場合はこの恩恵を受けられません。その際は従来通り、限度額適用認定証の事前申請が必要です。
実例で見る:窓口負担の差
たとえばAさん(区分ウ)が、1カ月で医療費30万円の入院をする場合、本来の窓口3割負担だと9万円ですが、高額療養費制度により自己負担限度額は約87,430円程度となります。
マイナ保険証が有効であれば、最初からこの金額までに窓口負担が抑えられますが、未登録だった場合、いったん9万円を支払い、後日差額を申請しなければなりません。
マイナ保険証の登録方法と注意点
マイナ保険証の利用には、以下のステップが必要です。
- マイナポータルまたは対応端末で保険証利用の登録を行う
- 健康保険証とマイナンバーカードの連携が済んでいるか確認
- 医療機関でマイナ受付に対応しているか事前確認
登録が済んでいても、医療機関の端末トラブルや読み取りエラーが起こることもあるため、念のため従来の保険証も携帯しておくと安心です。
まとめ:マイナ保険証での限度額適用は原則すべての区分に有効
高額療養費制度を活用し、窓口負担を初めから限度額に抑えるには、マイナ保険証の事前登録が有効です。この仕組みは基本的にすべての所得区分で機能しますが、登録の有無や医療機関側の対応状況により例外もあるため、事前確認が重要です。
不安な場合は、従来通りの限度額適用認定証も準備しておくことで、安心して医療を受けることができます。
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