米ドル建て一時払い終身保険は、為替の影響や金利の違いを活用して資産を運用する方法として人気を集めています。しかし、「保険会社はどこで儲けているのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、そのカラクリを金融の視点からわかりやすく解説します。
保険会社の利益の主な源泉
保険会社が米ドル建て保険で得る利益の主な源は、「運用益」と「予定利率と実際の運用利回りの差(利差益)」です。
たとえば、顧客が支払った保険料を米国債などで運用し、年3.5%のリターンがあったとしても、契約者に対しては2%の予定利率でリターンを設計していれば、その差額の1.5%が保険会社の利益となります。
ドル建てならではの高金利環境を活用
米国は日本よりも長期的に高金利の傾向があり、保険会社にとっては有利な運用環境です。特に長期債券を活用することで、より安定した運用益を確保しやすくなります。
このような市場環境により、保険会社は顧客へのリターンを提供しつつ、自らも利益を確保できる構造を築いているのです。
為替手数料・為替リスクによるマージン
契約者が円で保険料を支払い、保険金を円で受け取る場合、為替差損益が発生します。ここに為替手数料や為替レートの調整幅が組み込まれており、それが保険会社の収益の一部になります。
例として、為替手数料が1ドルあたり50銭かかる場合、10万ドル分の取引があると約5万円が手数料として保険会社に入ります。
死亡保障リスクは意外と低い
終身保険ではありますが、契約者が長生きすることを前提として商品設計されているため、死亡保険金の支払いリスクは低く抑えられています。そのため、保険会社にとっては支払いリスクが小さい割に保険料を多く受け取れる、収益性の高い商品となっています。
販売手数料・解約控除も利益に
販売時にかかる手数料(初期費用)や、一定期間内の解約に対して差し引かれる解約控除も、保険会社の収益の一部です。
これらの費用はパンフレットなどに明記されていますが、十分に読み込まないと見逃しやすいため、商品内容をよく理解することが大切です。
まとめ:表面利回りだけでなく“構造”を理解しよう
米ドル建て一時払い終身保険は、保険会社にとって「運用益」「為替手数料」「解約控除」「死亡保障の低リスク」など、複数の収益ポイントが組み合わさった商品です。
投資目的で検討する際は、金利の魅力や為替の変動だけでなく、保険会社がどこで利益を得ているのかを知ることで、より納得のいく判断ができるでしょう。
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