転職の際、前職を退職してから次の職場で健康保険に加入するまでの“空白期間”が発生することは少なくありません。この短い期間に国民健康保険(国保)へ加入すべきかどうか、また保険料が発生するのかどうかは、多くの人が混乱しやすいポイントです。本記事では、月をまたがないケースでの国保の取り扱いについて、具体的な例とともに解説します。
退職から再就職までの保険の空白期間とは?
会社を退職すると、その日をもって社会保険(健康保険)からは自動的に脱退となります。そして、次の就職先で再び社会保険に加入するまでの間、基本的には自身で健康保険に加入する必要があります。
この間に選べる保険制度には、①任意継続被保険者、②国民健康保険がありますが、期間が短く“月をまたがない”場合、例外的に保険料がかからないケースが生じます。
「月をまたがない」とは具体的にどういうこと?
健康保険の制度上、1か月(暦月)単位で保険料が発生します。つまり、退職と次の入社日が同じ月の中で完結していれば、国保に加入しても「その月の分」は社会保険でカバーされていたと見なされ、国保の保険料は実質ゼロ、あるいは請求されないことがあります。
たとえば、7月20日退職 → 8月1日就職というケースでは、7月中に社会保険を脱退し、8月から次の職場の社会保険に加入するため、7月21日〜31日の11日間は無保険状態になります。この場合、7月中の保険資格がなくなるため、7月分の国保加入が必要となります。
よくある誤解:「月をまたがなければ無料」は必ずしも正しくない
ネット上では「月をまたがなければ国保は不要」などの情報も見かけますが、これは一部正しくても、すべてに当てはまるとは限りません。たとえば、退職が月末ギリギリで、翌月初日に就職する場合は、確かに保険料の請求が来ないケースもあります。
しかし、月の途中で退職し、次の就職が翌月になると、国保の加入義務が生じ、その月の分の保険料が日割り計算ではなく、1か月分まるまる請求される可能性があるため注意が必要です。
健康保険資格喪失証明書は提出を忘れずに
国保への加入手続きの際には、前職の社会保険を脱退した証明書(健康保険資格喪失証明書)が必要です。これが届くのが2週間程度かかることもあり、加入期限である「14日以内」に間に合わないと不安になるかもしれませんが、遅れても加入手続き自体は可能です。
加入日自体は退職日の翌日から遡って適用され、その間に病院へかかった場合も保険適用を受けられます。ただし、提出が遅れると保険証の発行や医療費の立替払いなど面倒が増えるため、早めの対応が望ましいです。
保険料を抑える方法もチェック
- 前年度所得が低い場合、国民健康保険料の軽減措置を受けられる可能性があります。
- 扶養に入れる家族がいる場合は、扶養制度の活用も検討しましょう(就職まで短期なら一時的な対応として有効)。
- 任意継続保険との比較も行いましょう。保険料や保障内容の違いを事前に確認することで、最適な選択が可能です。
まとめ:7月退職→8月入社なら、国保の加入義務あり
今回の例のように「7月20日退職、8月1日入社」のケースでは、月をまたいでいるため、国保に加入する必要があるのが原則です。保険料は1か月分課されることになります。逆に「7月25日退職、7月31日就職」など、月内で完結していれば、国保加入の必要はないこともあります。
制度のルールを正しく理解して、無保険期間が発生しないように注意しましょう。
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