6月の所得税が急に高くなる理由とは?月次の税額に潜む“年税額計算の罠”を解説

税金

毎月の給与明細を見ていて「6月だけやけに所得税が高い」と感じた経験はありませんか?実はそれ、単なる偶然ではなく、源泉徴収税額の算定方法年税額の見積もりに関係しています。この記事では、なぜ6月に所得税が高くなるのかを制度面からわかりやすく解説します。

6月の所得税が高くなる主な理由

結論から言うと、6月は「年税額」の再計算が行われる月であり、それに伴って月々の源泉徴収税額が見直されるタイミングだからです。

企業では、1月~5月までは前年の給与などを元にした「仮の年税額」で源泉徴収額を決めています。そして6月の支給分から、その年の見込み年収を元に正しい年税額を再計算し、月割で調整するため、一時的に6月の徴収額が跳ね上がることがあるのです。

年税額とは?なぜ6月に再計算されるのか

年税額とは、その年の1月から12月までの所得に対して課される所得税の合計額を指します。給与所得者の場合、企業が毎月源泉徴収という形で税金を給与から天引きしています。

しかし年始はまだその年の年収が不確定なため、1~5月は前年度の実績に基づいて仮の税額で徴収しており、6月になると実際の昇給、手当、勤務実績などを反映した「今年度の見込み年収」で正式に再計算を行います。

実例:5月と6月で月収が同じでも税額が変わるケース

例えば、5月と6月の月収が同じ20万円だったとしても、5月までは「前年と同じ給与なら年収も同じ」と仮定した税額が徴収され、6月になると「今年は賞与も含めて年収が上がりそうだ」と判断されて年税額が増えた場合、月ごとの源泉徴収額も増えるため、6月だけ一時的に高くなるわけです。

実際に「6月から急に2倍以上引かれた」という人もいますが、それは決してミスではなく、税制のルールに基づいた正常な処理です。

賞与と所得税の関係性

6月に賞与(ボーナス)がある企業は多く、賞与に対しても別途所得税が源泉徴収されます。ただし、賞与分と月給分は基本的に別枠で課税されるため、賞与が6月の給与明細に含まれていない場合でも、月給分だけで源泉徴収額が増えることはあり得ます。

つまり、6月の月給が変わらないのに所得税が増えていた場合、それは賞与の影響ではなく、「年間の見込年収の修正」によるものと考えるのが妥当です。

住民税も6月から変わることがある

実は6月は所得税だけでなく、住民税の徴収開始月でもあります。前年の所得を元に計算された住民税が、6月の給与から引かれるようになるため、「税金が増えた」と感じやすい月でもあります。

ただし、今回のケースでは「所得税だけが増えた」と明記されているため、直接的な要因は前述した所得税の年税額調整と考えられます。

対策と確認すべきポイント

  • 給与明細で「所得税額」と「住民税額」を別々に確認
  • 6月の源泉徴収税額が急に増えていないか、前年との比較
  • 会社の人事・総務担当に「年税額の変更」について照会

また、会社から交付される「源泉徴収票」や「給与明細の年間履歴」がある場合は、それをもとに年税額の増減を客観的に確認するのが確実です。

まとめ:6月の所得税増額は“制度上の自然現象”

6月の所得税が高くなるのは、年税額の調整により月々の源泉徴収額が再設定されるタイミングだからです。賞与とは別に処理されている場合でも、年間見込み収入の上昇により所得税が増額されることはよくあります。

驚かず、冷静に給与明細や会社からの通知を確認し、必要があれば人事部門へ照会してみましょう。

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