長期間の休職中も社会保険料を支払っていたという方は少なくありません。とくに給与の支払いがない状態で保険料を会社経由で負担し続けることに疑問を感じるケースも多くあります。今回は「休職中も社会保険料を払い続けるのは普通なのか?」というテーマで、制度の仕組みや会社対応の違いを解説していきます。
休職中の社会保険料、支払いは通常か?
結論から言えば、休職中でも社会保険料を支払い続けるのは一般的です。社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、雇用形態にかかわらず「被保険者」である限り原則として保険料が発生します。
たとえ休職中で給与が出ていない場合でも、在籍していて健康保険・厚生年金の資格が継続している限り、保険料は自己負担しなければならないというのが基本です。休職開始時点での標準報酬月額に基づき、月々の保険料が算定されます。
なぜ給与がないのに保険料が発生するのか
これは「資格喪失しない限り、保険料の支払い義務がある」ためです。たとえば退職すれば資格喪失となりますが、休職中は在籍扱いです。よって健康保険証も継続して使える一方で、その維持には保険料の支払いが必要になります。
また、標準報酬月額の改定(休職による報酬減額)が行われていない限り、休職前の給与水準に応じた保険料がそのまま発生することになります。
休職中の社会保険料、会社と折半になる?
休職中も在籍していれば、通常は会社が保険料の半分を負担しています。これは在職中と同様の仕組みです。ただし会社によっては、休職期間中の保険料全額を本人に請求する場合もあります。
そのため、就業規則や休職規定の確認が重要です。「会社が立替えて後日一括請求」「保険料分だけ振込を求められる」といった取り扱いは企業によって異なります。
免除や減額はできないのか?
残念ながら、社会保険料の免除制度は原則ありません。しかし一定の条件下で、厚生年金保険料の免除が可能な場合があります。
例えば、育児休業中は法律上、保険料の免除対象になりますが、通常の病気・ケガによる休職では該当しません。また標準報酬月額の変更手続きを行えば、保険料の算定基礎を引き下げることも可能です。
傷病手当金で保険料はカバーできる?
休職中に健康保険から支給される「傷病手当金」は、給与の約2/3相当が支給されます。これを保険料支払いに充てることが多いです。保険料を差し引いた後に生活費をまかなえるかを事前に確認しておくことが重要です。
2年の支給期間を超えた場合は支給が打ち切られるため、その後の保険料支払い計画を立てておく必要もあります。
まとめ:休職中の社会保険料支払いは一般的、制度理解がカギ
休職中でも在籍扱いであれば社会保険料の支払いは原則発生し、その額も休職前の給与水準で決定されるため、高額になるケースもあります。これは異常ではなく、一般的な制度上の取り扱いです。
会社の就業規則や社会保険の規定を確認し、不明点は人事部門や社会保険労務士に相談すると安心です。長期休職を予定している場合は、標準報酬月額の見直しや支払いスケジュールの調整を検討しておきましょう。
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