アルバイトやパートで働いている人の中には、「月8万8千円未満なら源泉徴収されない」と聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、この金額の基準を誤解している人も少なくありません。実は、源泉徴収の有無は月ごとの収入だけでなく、働き方や雇用形態によっても異なります。この記事では、8万8千円の基準の意味と、1ヶ月でも超えた場合にどうなるのかをわかりやすく解説します。
源泉徴収とは?まずは仕組みを理解しよう
源泉徴収とは、会社(雇用主)があなたの給料から所得税をあらかじめ差し引き、代わりに税務署へ納める制度のことです。つまり、働く側が自分で税金を納める手間を省く仕組みです。
年末に行う「年末調整」で、1年間に払いすぎた税金があれば戻り、不足していれば追加で支払う形になります。源泉徴収はサラリーマンやパート、アルバイトなどの給与所得者に広く適用される制度です。
「月8万8千円未満は源泉徴収されない」の誤解
よく「月8万8千円未満なら源泉徴収されない」と言われますが、これは正確には「日雇いバイトや短期労働者などに適用される基準」の一部です。
具体的には、日雇いではなく、継続して雇われている人の場合は、月8万8千円を超えるかどうかで判断されません。雇用契約の内容(例:継続勤務か、一時的か)によって源泉徴収の扱いが変わります。
一方で、日雇いなどの短期バイトで「その日限り」の契約を繰り返す場合は、1回の支払い額が9,300円未満なら源泉徴収されない、というルールがあります。
月8万8千円の基準の本当の意味
この「月8万8千円」という数字は、実は社会保険(厚生年金や健康保険)への加入基準を指すことが多いです。
社会保険の加入義務は、次の5つの条件をすべて満たす場合に発生します。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8万8千円以上
- 勤務期間が2か月を超える見込み
- 学生ではない
- 従業員数101人以上の企業に勤めている(2024年現在)
つまり、8万8千円という金額は「社会保険の加入ライン」であり、「源泉徴収の有無」とは別の話なのです。
月ごとに収入が変動する場合の源泉徴収
質問のように、例えば1月5万円・2月9万円・3月6万円といった月ごとの収入の変動がある場合、雇用形態が「継続雇用」であれば、月8万8千円を超えた月だけで特別に源泉徴収の有無が変わるわけではありません。
源泉徴収は、雇用先が「年間でどのくらいの収入があるか」を見越して毎月少しずつ所得税を差し引く仕組みです。そのため、月単位の収入よりも「通年の見込み収入」で判断されます。
年収100万円程度の場合、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)を差し引くと課税所得は0円となり、結果的に年末調整で全額還付されるケースも多いです。
年収100万円の場合の税金の扱い
質問のケース(年収100万円)では、所得税の課税ラインである103万円以下なので、最終的には税金がかかりません。途中で源泉徴収されていたとしても、年末調整や確定申告で全額戻ってくる可能性が高いです。
また、年間の収入が103万円以下であれば、扶養に入っている場合でも扶養控除の対象から外れることはありません。
まとめ:8万8千円は源泉徴収の基準ではない
「月8万8千円」という数字は源泉徴収ではなく社会保険の基準です。源泉徴収は、働き方や年収見込みによって決まります。質問のケースのように年収100万円前後であれば、源泉徴収されても年末調整で戻ってくることが多いので安心してください。
もし源泉徴収や社会保険の扱いに不安がある場合は、勤務先の総務担当者や税理士相談窓口に確認することをおすすめします。制度を正しく理解することで、無駄な不安や誤解を減らすことができます。


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