雇用保険の加入条件について「週20時間」という基準が知られていますが、具体的な運用や判断方法については誤解が多くあります。短時間労働者や副業・掛け持ち勤務の方にとっては、自身が該当するかどうかの判断は非常に重要です。この記事では、週ごとの労働時間が異なる場合に雇用保険の加入対象となるかを、具体的なパターンを交えて詳しく解説します。
雇用保険の加入条件の基本
雇用保険に加入するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 31日以上の雇用見込みがあること
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
ここでの「1週間の所定労働時間」とは、あくまで雇用契約書やシフト表などに定められた労働時間のことを指し、実労働時間の平均ではありません。
Aパターン:週ごとに19時間が続き、一部で23時間
第一~第三週が19時間、第四週だけ23時間というケースでは、「1週間の所定労働時間」が常に20時間未満と解釈されやすく、雇用保険加入の必要は基本的にありません。
ただし、雇用契約上「週20時間働く予定」であるにもかかわらず、たまたま数週が短い場合は、加入対象になる可能性があるため、契約書やシフトの実態が重要になります。
Bパターン:19時間と20時間が交互に発生
週20時間を超える週と超えない週が交互にある場合、判断はより慎重になります。「契約上20時間働く見込みがある」とみなされるかがカギになります。
例として、雇用契約書で「週20時間勤務」と定められている場合、Bパターンでも雇用保険に加入すべきと判断される可能性が高くなります。実際の稼働時間がやや変動しても、所定労働時間ベースでの判断が優先されるのです。
加入判断における注意点
- 所定労働時間=契約上の時間:実働ベースではなく、契約ベースで判断される
- 平均して20時間以上でも不十分:1週ごとではなく、継続性や契約上の見込みが必要
- 31日以上の雇用見込みがあるか:短期雇用は加入対象外となることも
不明点がある場合は、厚生労働省や地域のハローワークに確認するのが安心です。
副業・短期契約のケースでは?
副業で短時間労働をしている場合、本業で雇用保険に加入していれば、副業側は原則として加入不要です。また、週20時間に満たない短期アルバイトなども加入義務はありません。
ただし、複数の勤務先が週20時間以上で継続的な契約を結んでいる場合は、雇用保険の兼務届が必要になる可能性があります。
まとめ:雇用保険の加入判断は「契約ベース」で
A・Bパターンのような変則的な勤務スケジュールでは、「実際の労働時間」ではなく「雇用契約上の所定労働時間」が判断基準になります。
週20時間以上の労働が明記されておらず、契約上も明確でない場合は、加入義務が発生しない可能性が高いです。逆に、シフトの都合で一時的に減っているだけなら加入が必要となるケースもあるため、雇用契約書の内容が重要です。
加入義務が不明な場合は、労務担当者やハローワークに相談し、早めに確認しましょう。
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