退職から次の就職までの期間、保険の手続きが曖昧なままになると、思わぬ医療費の負担や行政手続きの遅延が発生することがあります。この記事では、会社を退職してから新しい職場に入社するまでの保険の扱いや、どのような手続きを行うべきかをわかりやすく解説します。
退職後に健康保険は自動で切れるの?
会社を退職すると、その時点で厚生年金と健康保険の資格は喪失します。つまり、退職日翌日からは「会社の健康保険」には加入していない状態になります。このままでは無保険となってしまうため、何らかの形で保険に加入する必要があります。
退職から転職までの空白期間が数日〜1ヶ月あっても、無保険状態でいるのは非常にリスクが高いため、必ず次のどれかの保険に加入する手続きをしましょう。
選べる3つの保険の選択肢
- ①任意継続被保険者制度:退職前に加入していた健康保険をそのまま継続できる制度。最大2年間まで加入可能で、退職日から20日以内に申請が必要です。
- ②国民健康保険:お住まいの市区町村の役所で手続きする保険。転職までの短期間だけ加入する人も多く、退職日の証明書類(離職票など)を提出する必要があります。
- ③家族の扶養に入る:家族の健康保険に加入できる場合、被扶養者として加入することで保険料の負担をゼロにすることが可能です。
それぞれの制度の違いや注意点
任意継続は、保険料が全額自己負担(会社負担がなくなる)になるため、保険料が2倍程度になるケースもありますが、給付内容は現役時代と同様です。会社の健保組合によっては任意継続の方が国保より安い場合もあります。
国民健康保険は所得に応じた保険料で計算されるため、前年の収入が多いと高額になる場合があります。転職後に職場の健康保険に切り替えれば、国保は脱退手続きを行います。
具体例:8月中旬に再就職予定の場合
例えば7月31日に退職し、8月15日に再就職する予定であれば、8月1日から14日までの約2週間が保険未加入状態となるため、次のいずれかの対応が必要です。
- 退職時の健康保険を8月1日から任意継続で申請
- 国民健康保険に加入して、14日以降に脱退手続き
- 家族の扶養に一時的に入れてもらう(可能なら)
なお、再就職先の保険は原則として入社日から適用されるため、事前に「保険証がいつ届くか」や「加入日がいつになるか」を確認しておくことも重要です。
未加入のまま過ごすリスクとは
万が一この保険空白期間中に病気やケガで医療機関を受診した場合、10割自己負担になります。さらに、加入義務があるにもかかわらず無保険状態でいると、後日加入した際に保険料をさかのぼって請求されることもあります。
短期間でも保険加入を怠らないことが、リスク回避と経済的な安定のカギになります。
まとめ:短期の空白期間でも保険手続きは必須
退職から再就職までの短期間であっても、健康保険の空白を作らないように「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養」いずれかを活用することが大切です。
特に、退職日が近い場合は、20日以内の任意継続の申請期限に注意し、早めに手続きを進めましょう。保険制度をうまく活用し、安心して次の職場へ向かう準備を整えてください。
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