障害年金の等級判定に影響するポイントとは?2級と3級の違いと昇級の可能性を解説

年金

障害年金を申請・受給するうえで、多くの方が疑問に思うのが「2級と3級の境目」です。とくに精神障害においては、客観的な数値基準が少ないため、判定に不透明感があると感じられがちです。この記事では、障害年金における等級判断のポイントと、2級への昇級がどういった条件で見込めるのかを解説します。

精神障害の障害年金における基本的な判定基準

障害年金の等級判定は、日本年金機構が定める「障害認定基準」に基づいて行われ、精神疾患に関しては「日常生活能力の判定」や「日常生活能力の程度」が中心となります。これらの情報は診断書に記載される「マトリクス表」としてまとめられ、数値化されて等級の目安になります。

しかし、あくまでもマトリクス表は補助的な材料であり、診断書全体や日常生活の実態、病歴・就労状況・通院頻度などの総合的な観点から審査されます。

2級と3級の主な違いとは?

2級は「日常生活が著しく制限され、他人の援助が必要なレベル」、3級は「労働が制限されるが、日常生活はある程度自立しているレベル」とされています。つまり、就労不可や日常生活における支援の有無が大きな判断材料になります。

たとえば、同じASD(自閉スペクトラム症)の診断があっても、「1人で通院できる」「簡単な日常活動ができる」「家族の支援が少ない」などが確認されれば3級止まりになる傾向があります。

マトリクス表での数値がすべてではない

診断書に記載される「日常生活能力の判定」「程度」は点数換算され、平均値が2.0前後なら3級、1.8以下で2級とされるのが通例です。ただし、明確な数値の基準は非公開で、実際には個別事情が大きく影響します。

たとえば、「点数は3級相当でも、希死念慮が強く、通院や服薬管理も他者依存している」などの要素が診断書に具体的に反映されれば、2級が認められることもあります。

2級への昇級に影響する具体例

以下のような内容が診断書や申立書に具体的に記載されると、2級に該当する可能性が高まるといわれています。

  • 自殺未遂やリストカット、OD(オーバードーズ)などの危機的行動歴
  • 精神科への入退院歴(特に隔離・保護入院)
  • 日常生活において常時見守りや援助が必要な実態
  • 金銭管理や服薬管理が一切できない
  • 就労経験が一度もなく、将来的な復職の見込みも立たない

これらが診断書に反映されていれば、医師の記載が客観的な裏付けとして評価されやすくなります。

実際のケースとよくある落とし穴

たとえば、「ASDで一人暮らしをしているが、日常のことは何とかこなせている」「週1回のバイトをしている」などの記述がある場合、それが就労可能性として判断され、3級止まりになることがあります。

一方で、家族が支援しているが、本人は外出も困難・通院は常に付き添いが必要といった事情がきちんと反映されていれば、2級となる可能性も十分あります。

まとめ:2級と3級の境目を理解して的確な申請を

障害年金における等級判断は、マトリクス表の数値だけではなく、生活実態や危機的エピソード、他者からの援助の必要性などが総合的に考慮されます。2級を目指す場合には、医師との連携を取りながら、正確かつ具体的に診断書を作成してもらうことが最も重要です。

申請や再申請に不安がある方は、障害年金に詳しい社会保険労務士への相談を検討してみましょう。

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