近年では円満退職を目指して有給休暇を消化しながら次の職場で勤務を始めるケースも増えています。一方で、有給消化中に転職すると「二重在籍」になるのでは?と不安に思う方も多いでしょう。この記事では、有給消化中の転職がもたらす税金や社会保険料の影響、手続きの注意点について詳しく解説します。
「二重在籍」とは?
二重在籍とは、同時期に複数の企業に在籍している状態を指します。ただし、有給消化中の元職場に籍が残っているだけで実際の労働をしていない場合、実質的には労働契約が終了していると見なされることもあります。
法的に二重在籍を禁じる規定はないものの、就業規則や雇用契約の内容次第では注意が必要です。
税金の取り扱いについて
転職によって年の途中で複数の会社に勤務すると、源泉徴収票が2枚発行されます。原則として、転職先の会社に前職分の源泉徴収票を提出すれば年末調整が可能です。
ただし、元の会社からの給与(有給分を含む)が12月以降に支払われる場合は、新しい会社の年末調整が間に合わず、自分で確定申告をする必要があります。
社会保険料は「二重払い」になるのか?
有給消化中の元職場と新しい職場でそれぞれ保険料が発生すると、「二重払いになるのでは?」と心配になりますが、実際には次のような仕組みになっています。
- 健康保険・厚生年金:資格取得・喪失のタイミングによって1か月内で重複加入になる可能性もありますが、保険者に申請すれば過剰分の調整が可能です。
- 雇用保険:通常は退職日をもって資格喪失し、新たな職場で再取得となります。二重加入は基本的に起こりません。
健康保険組合や日本年金機構に問い合わせれば、過剰徴収の返還など柔軟な対応が受けられることもあります。
転職時にやるべき手続きと注意点
有給消化中の転職でトラブルを避けるためには、以下の手続きを正確に行うことが重要です。
- 退職日と入社日の重複を意識して書類に記載
- 前職の源泉徴収票を必ず受け取る
- 社会保険の資格取得・喪失通知を各保険者に確認
- 必要に応じて確定申告の準備をしておく
また、新しい職場での年末調整のために、転職前後の収入証明や控除申告書の提出も忘れずに。
実際の体験談とアドバイス
事例1:有給消化を利用して退職日を1月末、新しい会社の入社日を1月4日に設定した30代男性。2月に元職場の社会保険料が1か月分引かれたが、社会保険事務所に問い合わせたところ、重複期間に対する払い戻し申請ができた。
事例2:源泉徴収票が届かず確定申告で苦労した20代女性。結果的に自分で全期間の収入・控除を集計して申告書を作成し、無事に還付を受けた。
まとめ:事前準備でトラブル回避を
有給消化中の転職は制度上問題ありませんが、手続きやタイミング次第で税金や保険料に関する手間が発生することがあります。確定申告の準備や保険者への確認など、事前の対応が重要です。
転職活動の段階から「退職日と入社日のバランス」や「保険・税の手続き」についてしっかり情報収集しておきましょう。
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