「老後は年金だけで生活できるのか?」という疑問は、誰もが一度は抱くものです。特に最近では、厚生年金の平均受給額が男女で大きく差があることも注目されています。本記事では、実際の受給額と生活費のバランス、住宅環境ごとの影響、そして老後の資金設計について具体的に解説します。
厚生年金の平均受給額はどれくらい?
厚生労働省の発表によると、令和5年度の厚生年金の平均月額は男性166,600円、女性107,200円となっています。これは老齢厚生年金と老齢基礎年金を合算した金額で、フルタイムの会社員として働いてきた人が受け取る平均的な水準です。
男女の受給額に差がある理由は、女性が非正規雇用や短時間勤務の割合が高かったり、厚生年金に加入していない期間が長いことが背景にあります。
老後の生活費の現実と年金の差額
総務省「家計調査(高齢夫婦無職世帯)」によると、夫婦2人世帯の平均的な生活費は月約260,000円前後です。一方、厚生年金の受給額は夫婦合算で約273,800円(男性166,600円+女性107,200円)と仮定すると、平均的な収支はギリギリ、あるいは住環境などによっては赤字のケースも。
特に医療費や介護費が増える高齢期後半には、年金だけでは不安を感じる人が増えてきます。
「持ち家」と「借家」で老後の負担はどう変わる?
持ち家がある人は、固定資産税や修繕費を除けば家賃負担が少ないため、比較的余裕のある生活ができます。対して、借家住まいの高齢者は、毎月5〜10万円の家賃を支払う必要があり、年金収入だけでは赤字になる可能性が高くなります。
たとえば、月8万円の家賃がある場合、夫婦合算の年金収入が27万円でも、生活費が25万円を超えると貯金の取り崩しが必要となります。
単身世帯ではさらに厳しい現実
高齢者の単身世帯の場合、平均的な年金額は13万円前後と言われており、生活費に対して明らかに不足します。特に、女性の単身高齢者が多い日本では、貧困率の上昇が問題となっています。
実例として、東京都内で一人暮らしをしていた女性(70代)は、年金月12万円に対し、家賃と光熱費で7万円以上が固定費となり、食費や医療費を切り詰めながら生活をしています。
老後資金をどう準備すべきか
年金だけに頼らず、退職金や貯蓄、iDeCoやNISAなどの積立投資による資産形成が必要です。最近は、60代以降も働き続ける「リタイア後就労」も一般的になりつつあり、公的年金+αの収入源を作っておくことが現実的です。
また、生活費を抑えるために、地方移住やシェアハウス型の高齢者住宅など新しい生活スタイルも選択肢の一つとして注目されています。
まとめ:年金だけで生活するのは「可能な人もいるが全員ではない」
厚生年金の平均受給額だけで生活できるかどうかは、「家賃の有無」「家族構成」「地域性」「健康状態」によって大きく左右されます。持ち家のある夫婦であれば何とかなるケースもありますが、借家住まいの単身者は特に厳しい傾向にあります。
老後を安心して暮らすためには、現役時代からの資産形成と生活設計が不可欠です。年金に加えてどのような備えをしておくかが、今後ますます重要になるでしょう。
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