老後の年金には複数の制度が絡んでおり、「企業年金連合会老齢年金」や「厚生年金基金の代行部分」など、制度ごとの違いや関係性がわかりにくいと感じる方も多いはずです。この記事では、これらの年金制度の違いと申請・受給のタイミングについて、事例を交えながらわかりやすく解説します。
企業年金連合会老齢年金とは?
企業年金連合会老齢年金とは、複数の企業年金制度に加入していた方が、加入期間が短くて企業独自の年金を受給できない場合に、その分を集約して給付する制度です。主に厚生年金基金・確定給付企業年金などに断続的に加入していた方に適用されます。
例えば、A社で3年、B社で5年と転職を繰り返し、それぞれの基金の受給資格に満たない場合、企業年金連合会に年金資産が引き継がれ、そこで一括して老齢年金が支給されます。
厚生年金基金の代行部分とは何か?
厚生年金基金は、かつて国の厚生年金の一部(報酬比例部分)を「代行」して支給する制度でした。この代行部分は、本来国から支払われるべき年金額を基金が代わりに給付する仕組みで、企業年金の上乗せ部分とは区別されます。
現在では多くの厚生年金基金が解散し、代行部分は企業年金連合会が管理・支給しています。そのため、基金に所属していた方は、企業年金連合会から老齢年金として代行部分を受け取ることになります。
受給中の年金と申請のポイント
質問にあった「繰上げ老齢年金」「在職特例年金」「企業年金連合会年金」はすべて異なる制度です。重要なのは、代行部分がすでに企業年金連合会から受け取られているかを確認することです。もし、まだ代行部分が移行されていない場合は、自身で企業年金連合会に連絡して申請が必要となります。
なお、企業年金連合会の年金は60歳または62歳から開始されることが多く、受給開始時期はご自身の誕生月や加入期間により異なります。
遡って申請は可能?
企業年金連合会の年金は、最大で5年まで遡って請求可能です。したがって、現在64歳で、もし62歳からの給付対象であった場合でも、2025年の時点では2023年以降の分まで遡って受け取れます。
ただし、申請が遅れるとそれ以前の年金は「時効」により消滅する恐れがあります。なるべく早く企業年金連合会へ連絡し、自分の記録を確認しましょう。
事例で見る:64歳で気づいた場合の流れ
ある男性が、62歳で企業年金連合会の対象になっていたものの、申請を失念していたとします。64歳でその事実に気づいた場合、企業年金連合会へ申請を行い、2年間遡って受給開始することが可能です。
ただし、給付対象外の期間は受け取れませんので、早期の確認が重要です。申請書類や本人確認書類の準備が必要になるため、具体的な流れについては企業年金連合会の公式窓口に相談しましょう。
まとめ:制度の違いを理解して確実な受給申請を
企業年金連合会老齢年金と厚生年金基金の代行部分は、制度上は異なるものでありながら、現在では連合会に統合されて支給されています。加入歴や受給状況により、未申請のままになっているケースもあるため注意が必要です。
64歳というタイミングでも、まだ遡っての申請が可能な場合がありますので、心当たりがある方は企業年金連合会に確認のうえ、早めの手続きをおすすめします。
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