リフォームや修理中に業者の不注意で住宅設備を破損された場合、通常は業者側の保険によって補償されることが多いですが、対応の遅れや不透明なやり取りが続くと「本当に保険申請しているの?」「補償は受けられるの?」といった不安が募ります。この記事では、業者が関与する損害トラブルにおける保険対応の流れや注意すべきポイントについて詳しく解説します。
工事中に破損が起きた場合、誰が責任を負うのか?
まず基本的に、作業中に業者が住宅設備などを破損した場合は業者に修繕・弁償責任があります。これは民法709条の「不法行為」にも該当し、契約の有無を問わず損害賠償責任が発生します。
多くの業者は、こうしたトラブルに備えて「請負業者賠償責任保険」などに加入しています。この保険は、施主に損害が出た場合に業者の代わりに補償を行う制度です。
保険金は誰に支払われる?施主に直接?業者に?
請負業者賠償責任保険の場合、保険金は契約者である業者に支払われるのが基本です。これは、損害賠償責任が業者にあるためであり、業者が修繕工事を行ったり、施主に弁償したりするための原資として扱われます。
したがって、業者が保険金を着服し、施主に補償しないという不正も理論上は起こり得るのです。実際には稀なケースですが、情報開示に消極的な業者には注意が必要です。
保険会社から施主に直接連絡がないことはある?
はい、実際にはよくあることです。保険会社と契約しているのは業者側であり、施主は「第三者」扱いになるため、保険会社から直接連絡が来ないことも珍しくありません。
そのため、保険の進捗や手続き状況を知るには、業者に問い合わせるしか方法がないことが多いのです。情報を隠すような態度が見られたら、記録を残しておくとよいでしょう。
不安なときにとるべき具体的な対応策
不信感が募っている場合は、以下のようなステップで対応することをおすすめします。
- 損害の写真・状況を記録する
- やり取りは必ずメールなど記録に残る形にする
- 保険会社名や保険の種類、受付番号を聞き出す
- 進捗の期限を明確に伝える(例:「今週末までに保険会社の連絡先を教えてください」)
- 消費生活センターや弁護士への相談も視野に入れる
特に保険会社名や証券番号などは、施主側から保険会社に直接確認する際にも必要な情報となります。
実例:対応が長引いたケースとその解決策
あるケースでは、床の張り替え工事中に水漏れを起こされ、業者から「保険で対応する」と言われたものの、2カ月経っても音沙汰がなく、不信感が高まりました。
そこで施主は「保険会社名と受付番号を教えてほしい。教えてもらえない場合は内容証明を送付する」と伝えたところ、翌日に保険会社から連絡が来て速やかに補償が行われたという事例もあります。
まとめ:情報開示を求めるのは当然の権利
業者が破損を起こし保険対応をする場合でも、施主が進捗を把握できず不安になる状況は好ましくありません。業者は保険手続きを透明に行い、施主にも説明責任を果たすべきです。
保険会社から直接連絡がないのは制度上の問題ですが、不誠実な業者に当たったと感じたら、記録を残しつつ積極的に情報開示を求めていくことがトラブル解決の近道となります。
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