福祉サービスとして運営されている就労継続支援A型事業所(A型作業所)でも、労働契約に基づき働いている限り、労働法や社会保険制度の適用対象となります。特に、労働時間や収入が一定の基準を超えた場合は、事業所の規模や契約内容にかかわらず、社会保険加入義務が生じる可能性があります。この記事では、A型作業所における社会保険加入の基準と具体的なポイントについて解説します。
社会保険の加入が必要となる5つの条件
厚生年金・健康保険に加入するかどうかは、以下の5つの条件を満たすかどうかが判断基準になります。
- 1. 所定労働時間が週20時間以上
- 2. 月額賃金が88,000円以上(年収ベースで106万円以上)
- 3. 雇用期間が2か月を超える見込み
- 4. 学生ではない
- 5. 勤務先の事業所が従業員101人以上(2024年10月からは51人以上)
これらすべてを満たした場合、パート・アルバイト・障害者雇用等を問わず、社会保険への加入が義務付けられます。
A型作業所は社会保険の対象になるのか
就労継続支援A型は、雇用契約に基づく労働が行われる福祉サービスであり、労働基準法や労働保険法の適用対象です。そのため、一般の企業と同様に、法定の基準を満たす場合は社会保険の適用を受けます。
例:A型事業所で週25時間働き、月給が90,000円の契約で、勤務が3か月以上見込まれる場合、従業員数の要件を満たしていれば社会保険への加入が必要となります。
月収88,000円を超えるときのポイント
月給88,000円は、健康保険・厚生年金加入の基準額のひとつです。この額を超えると、上記の他条件も満たすかどうかで、保険加入の判断がされます。
なお、交通費や家族手当は「報酬」として算入されない場合もあるため、実際の対象賃金については勤務先や年金事務所での確認が必要です。
従業員規模による加入義務の違い
事業所の従業員数が社会保険加入義務の判断基準となるため、A型作業所の規模にも注目する必要があります。従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)であれば、基準を満たすパート・短時間労働者にも加入義務が発生します。
一方、従業員規模が50人以下であれば、事業主が社会保険の任意適用事業所であるかどうかによって取り扱いが異なります。
加入が必要な場合の手続きと注意点
加入条件を満たしているにもかかわらず未加入のまま放置すると、労働者本人・事業所双方に不利益が生じます。年金の未加入による将来の給付不足や、医療費の自己負担割合の増加といった影響があります。
加入対象であるにも関わらず未加入にされている場合は、日本年金機構や厚生労働省、または自治体の労働相談窓口に相談することをおすすめします。
まとめ
A型作業所であっても、週20時間以上かつ月給88,000円超で、その他の条件を満たす場合には、社会保険への加入が法律上必要とされるケースがあります。働く側としても、自分の労働条件がどのような保険制度に該当するのかを把握し、必要に応じて事業所に確認や相談を行いましょう。特に2024年からは社会保険加入基準が緩和される予定のため、対象となる方は今後の制度変更にも注意が必要です。
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