街には高級車が走り、ショッピングモールは賑わい、SNSでは旅行や外食の投稿が溢れています。しかし一方で「物価が高い」「税金が重い」といった声も多く、実際に家計が苦しいという人も少なくありません。果たして私たち日本人は本当にお金がないのでしょうか?表面的な印象と統計データを踏まえながら、実情を深掘りしていきます。
表面的な景気の良さに見える理由
週末のショッピングモール、行列のできる外食店、高価格帯のスマホやアパレルが売れている様子を見ると「みんなお金を使っている」と感じるのは自然なことです。
しかしこれらの消費行動は全体の一部であり、クレジット払いやボーナス払いを利用しての支出も多く、必ずしも可処分所得に余裕があるとは限りません。いわゆる「見栄消費」や「体験重視型消費」が主流となりつつある中で、財布の紐を締めつつも“ここぞ”という場面にはお金を使うというメリハリのある消費が見られます。
世帯別データから見る家計の現状
総務省「家計調査」や厚生労働省の各種統計によると、可処分所得は横ばいまたは実質的に下がっている傾向にあります。特に30代~40代の子育て世帯では、教育費や住宅ローンの負担が大きく、自由に使えるお金は限定的です。
また、単身世帯や非正規雇用の増加により、見た目では分からない“潜在的な困窮層”も増加しています。これにより「本当は厳しいが我慢していないように見える」という現象が発生しています。
税金・社会保険料・公共料金の上昇が影響
所得税や住民税、年金保険料、健康保険料などは年々増加傾向にあります。特に中間層にとっては可処分所得への影響が大きく、手取りベースでの実感が「生活が苦しい」という声につながります。
加えて、電気・ガス代などの光熱費もエネルギー価格高騰や円安の影響で値上がりしており、生活費の圧迫要因となっています。
「見えない借金」:ローンや後払い決済の普及
消費の裏側にはローンや分割払いの活用が広がっており、特に若年層ではスマホやアプリを使った後払い決済(BNPL)の利用が急増しています。
そのため一見すると“余裕のある生活”を送っているように見えても、実際には借金で成り立っている場合もあります。家計簿アプリのデータでも、20代~30代で家計赤字の比率が高いことがわかっています。
消費と苦しさは両立する:日本の新しい消費スタイル
「お金がない=何も買えない」時代ではありません。ポイント還元やセール活用、サブスク利用など、賢く消費する手段が広がっています。これにより“苦しいけれど楽しみたい”というニーズが実現しやすくなっているのです。
つまり、表面的には景気よく見えても、内実では工夫しながら暮らしている家庭が多く、「お金を使っている=お金に余裕がある」とは一概に言えないのです。
まとめ:経済的な実情は人それぞれ、見た目だけでは分からない
人々の消費行動は一面的に見れば「お金に困っていない」とも見えますが、その背景には賢い節約術やローン活用、将来不安とのバランスを取る努力があります。
本当にお金があるのか?苦しんでいるのか?という問いに対しては、「見えるもの」だけで判断するのではなく、統計や実態に目を向けることが大切です。
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