「日本年金機構の職員」を名乗る人物が突然自宅を訪問してきた――。そんなケースに遭遇すると、不安や疑念を抱く方も多いでしょう。この記事では、令和5年以降の年金機構の訪問制度の変化や、実際に訪問があり得る例外ケース、そして詐欺被害を防ぐためのチェックポイントを詳しく解説します。
令和5年に廃止された「年金機構の戸別訪問」制度
かつては「年金加入記録の確認」や「未納保険料の督促」などの目的で、年金機構職員が訪問する制度が存在していました。しかし、令和5年(2023年)4月以降、戸別訪問は原則として廃止されました。
日本年金機構は公式サイトでも、個人宅への訪問による調査や督促は現在原則行っていないことを明言しています。これにより、突然の訪問には慎重な対応が求められるようになっています。
例外的に訪問があるケースとは?
ただし、すべての訪問が禁止されたわけではありません。一部の例外として、以下のようなケースでは訪問が行われる可能性があります。
- 厚生年金事業所への適用調査(法人・個人事業所)
- 未納者への再三の通知後、事前連絡をした上で訪問する場合
- 高齢者への年金受給に関する相談支援活動(地域連携事業)
つまり、書面や電話での事前案内があり、本人が同意した上での訪問であれば、例外的に行われる可能性があります。
詐欺の可能性を見抜くチェックポイント
以下の点に注意することで、不審な訪問者が本物かどうかを判断する参考になります。
- 身分証明書を提示しているか(日本年金機構の職員証または委託業者証)
- 事前に書面や電話で訪問の案内があったか
- 金銭や個人情報をその場で求められていないか
- 持参している書類に記載された連絡先が公式かどうか(年金機構公式サイトの連絡先と照合)
特にその場で保険料の支払いやマイナンバー・口座番号の提供を求められた場合は、詐欺の可能性が非常に高いため、対応せず即座に確認を取りましょう。
実例:本物の職員と詐欺の違い
【ケース1:本物の訪問例】
東京都内のAさん宅に「地域包括支援センターとの連携により」年金受給の支援として訪問したケース。事前に郵送と電話で案内があり、担当者は身分証明書を提示し、その場で個人情報や金銭の要求はなし。
【ケース2:詐欺未遂の例】
千葉県内のBさん宅に「年金機構の委託業者」を名乗る男が訪問。書類はそれらしく見えたが、金銭支払いと口座情報を要求。警察に通報し、実際は無関係の詐欺グループだったと判明。
不安な場合の問い合わせ先
不審な訪問があった場合、日本年金機構の公式サイトに記載されている窓口に直接確認しましょう。また、地域の年金事務所でも訪問の有無を調査してもらえます。
また、消費者ホットライン(188)や警察の相談窓口(#9110)でも、詐欺被害の疑いについて相談できます。
まとめ:突然の訪問には慎重に対応を
・年金機構の戸別訪問は原則令和5年で廃止
・例外的な訪問は必ず事前案内がある
・その場での金銭要求や個人情報提示はNG
・不安な場合は年金事務所や警察に即連絡を
突然の訪問に不安を感じたら、一人で判断せず、必ず公的な窓口に相談しましょう。正しい知識で自分と家族を守ることが大切です。
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