障害年金を受給している方が結婚を機に配偶者の扶養に入ろうとする場合、制度の仕組みや注意点について十分な理解が必要です。特に、扶養に関する所得要件と障害年金の扱いを正確に把握していないと、後々トラブルや誤解が生じることがあります。本記事では、扶養と障害年金の関係、告知義務、所得の取り扱いなどについて、詳しく解説していきます。
障害年金は扶養判定に含まれるのか?
障害年金は非課税所得であるため、税法上の扶養控除などの「所得」には含まれません。しかし、健康保険の「扶養認定」においては、一部の保険組合などで障害年金も含めて判断するケースがあるため注意が必要です。
一般的な健康保険組合では、障害年金を含めた収入が年間130万円未満であれば扶養に入れるとされています。ただし、組合の規約により異なるため、個別の確認が必須です。
扶養判定の対象となる「所得」とは
扶養に入る際、健康保険では前年の年収を基に判定されます。ただし、被扶養者になる時点で「将来的に130万円未満である見込み」が明確であれば、扶養が認められることもあります。
例えば、フルタイム勤務をやめて月収が減り、障害年金の受給のみとなった場合、合計所得が年間130万円未満であれば条件を満たす可能性があります。
扶養手続き時の提出書類と告知義務
扶養に入る際には、所得証明書や非課税証明書の提出が求められることがあります。この書類には、障害年金の記載がないことが多いため、形式上は申告されないケースもあるのが実情です。
しかし、健康保険組合や事業主からの明確な申告義務があれば、意図的に申告しないことは虚偽の申請にあたる可能性があり、後に問題となる恐れがあります。
障害年金を「隠す」ことのリスク
障害年金の受給を意図的に隠すことで法的な罰則が科されるケースはまれですが、保険料の遡及徴収や扶養認定の取り消しといった実務的な影響が生じる可能性があります。
また、後日配偶者の会社や保険組合から年金受給歴を照会された場合、過去の扶養申請内容との齟齬が露呈することになります。
今後障害年金をやめることで解決するのか
受給更新を行わず、障害年金を辞退することで現在の扶養認定への影響を避けることは理論上可能ですが、「過去の扶養申請」に関する情報は残ります。
また、受給停止のタイミングや、過去の所得証明書に反映される可能性も考慮すべきです。完全に隠し通せるとは限らない点に注意が必要です。
まとめ:正直な申告が信頼とリスク回避に繋がる
障害年金の受給と扶養申請には制度上のルールと現実の運用にズレがあるため、正確な情報提供が信頼関係や将来的なトラブル回避につながります。
不安がある場合は、社会保険労務士や年金事務所に相談し、制度を正しく理解した上で申請することをおすすめします。意図的な未申告は長期的に見ると不利益になる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
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