「傷病手当金が思ったより少ない…」という声は少なくありません。手取り額をもとに試算した金額と実際の支給額に差がある理由は、制度のしくみや計算方法の誤解によるものが多いです。この記事では、傷病手当金の支給額が少なくなる理由や注意点を解説します。
傷病手当金の支給額の基本計算式
傷病手当金は、業務外の病気やケガにより働けなかった日数に応じて支給されます。支給額は「標準報酬日額 × 2/3 × 支給対象日数」で算出されます。ただし、「標準報酬日額」は手取りではなく、健康保険に登録されている標準報酬月額を基に計算されます。
たとえば、月給20万円の人の標準報酬月額は「20万円区分」になり、それを30日で割って「標準報酬日額」を求めます。
「手取り」ではなく「標準報酬月額」が基準
よくある誤解は「手取り額」で計算してしまうことです。実際には社会保険料や税金を引かれる前の額(=総支給額)を基に、健康保険組合が定めた標準報酬月額表に照らして区分が決まります。
例えば、月の手取りが152,228円の場合、総支給はおそらく約200,000円前後と推測され、標準報酬月額もその付近の等級になるでしょう。しかし、等級が一つ下がるだけで、日額も減り、支給額が大きく変わる可能性があります。
実際の支給額が少なくなる可能性がある要因
- 支給対象日数が短い(待期期間の3日間を除いて計算される)
- 日割り計算で1日あたりの金額が小さい
- 一部でも出勤した日は支給対象外
- 休職中に給与が出ていた場合、その分が差し引かれる
たとえば、5/5〜5/19の申請でも、出勤が1日でもあるとその日は対象から除かれます。また、土日など会社の休業日であっても、給与が支払われるような制度がある場合、対象外になります。
標準報酬月額別:傷病手当金の概算例
標準報酬月額 | 標準報酬日額 | 1日あたりの支給額(2/3) |
---|---|---|
200,000円 | 6,667円 | 約4,444円 |
220,000円 | 7,333円 | 約4,889円 |
250,000円 | 8,333円 | 約5,555円 |
例えば4,444円/日で支給日数が5日間なら22,220円、7日間なら31,108円程度になります。9996円という支給額から見ても、支給対象日数が極端に少ない可能性が高いです。
通知書が届くまで確認できない点も
実際の支給明細(支給決定通知書)は後日郵送されます。そこに支給対象日数や日額など詳細が記載されています。
金額に疑問がある場合は、通知書が届いた後に会社の担当部署か、加入している健康保険組合へ問い合わせましょう。
まとめ:少ない支給額には理由がある
傷病手当金の支給額が想定より少ない場合、その理由は手取りで計算していた・支給対象日数の勘違い・日額の誤認などが多いです。通知書が届くまでは正式な支給理由がわかりませんが、制度を理解することで冷静に確認が可能になります。
もし制度への理解に不安がある方は、協会けんぽの公式ガイドなどの一次情報も確認することをおすすめします。
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