出産を控えた方や育休を取得予定の方にとって、育児休業給付金の算出における基準期間の取り扱いは非常に気になるポイントです。特に、傷病休暇中に給与が支給されていた場合、それが給付金の算定対象に含まれるかは複雑な問題です。本記事では、傷病休暇と育児休業給付金の関係をわかりやすく解説します。
育児休業給付金の基準期間とは
育児休業給付金は、育休開始日前の「支給単位期間」6か月分の賃金をもとに支給額が決まります。この6か月分の賃金には、「出勤実績がなくても賃金が支払われていれば対象になる」場合もあります。
つまり、傷病休暇中であっても、給与が満額支給されていた期間は「報酬支払の実績あり」としてカウントされることがあります。
傷病休暇中に給与満額支給された場合の取り扱い
たとえば、会社独自の制度で90日間の傷病休暇中に満額給与が支払われていた場合、その期間は出勤日がゼロでも「賃金支払いの実績あり」として、育児休業給付金の算出基礎に含まれる可能性が高いです。
この判断の根拠となるのは、雇用保険実務における「出勤日数の有無ではなく賃金台帳上の支払実績を重視する」という取り扱いです。
賃金台帳と出勤簿の扱い方
育児休業給付金の申請時には、次の2つの書類の提出が必要です。
- 出勤簿またはタイムカード
- 賃金台帳または給与明細
出勤簿上で「出勤ゼロ」でも、賃金台帳で給与がしっかり支給されていれば、支給対象期間と見なされます。そのため、給与が満額支給されている3か月分の傷病休暇期間は育児休業給付金の基礎に含まれる可能性が十分にあります。
無給となった期間の取り扱い
一方、会社からの給与支給がない期間(例:6月から7月3日まで)が傷病手当金のみの受給となる場合、その期間は「賃金支払なし」として扱われ、育児休業給付金の計算には含まれません。
このような無給期間は、基礎賃金月数に数えられず、必要な6か月分の報酬期間に満たない場合は遡って該当する月を探す措置が取られます。
判断が不安なときの相談先
制度の取り扱いや書類の詳細はケースごとに異なるため、不明点がある場合はハローワークまたは会社の人事担当へ相談することをおすすめします。特に給与支給の証拠が給与明細にしか残っていない場合、賃金台帳を発行してもらうとスムーズです。
また、ハローワークの育児休業給付担当窓口では、提出書類の内容に基づき実際の計算の取り扱いについて案内してくれます。
まとめ:満額支給の傷病休暇は原則として基礎に含まれる
今回のケースのように、傷病休暇中に給与が支払われていた場合、育児休業給付金の支給対象期間に含まれる可能性は高いです。ただし、正式な判断は提出書類の内容や地域のハローワークでの運用により異なることもあるため、個別に確認することが安心です。
「出勤していない=対象外」ではなく、「給与が支給されているかどうか」が判断の基準であることを覚えておきましょう。
コメント