医療保険に加入する際には、持病や過去の通院歴などを申告する「告知義務」が発生します。この義務を怠る、または誤って申告すると、将来的に保険金が支払われない「告知義務違反」とされる可能性があります。特に、善意でのうっかりミスや記憶違いによってもトラブルになるケースがあるため、事前に仕組みを理解しておくことが大切です。
そもそも告知義務とは?
告知義務とは、保険に加入する際に保険会社が指定する質問項目(持病、通院歴、投薬、検査結果など)について、正確に伝える義務のことです。これは保険契約の公平性を保つために定められており、事実を偽ったり、隠したりすると契約が無効になる場合があります。
この義務は「保険を申し込んだ時点」から発生しており、申込者本人の認識が曖昧だったとしても、結果的に事実と異なる内容で告知していた場合は違反と判断されることもあります。
保険会社が医療機関に確認するのはいつ?
申込時にすべて確認されるわけではありません。基本的に、申込時は申込者の自己申告(告知)に基づいて審査が進められます。本人の承諾なしに病院へ問い合わせることは通常ありません。
一方で、保険金を請求した時には、保険会社が通院歴・病歴を調査する場合があります。入院や手術を伴う請求では、診断書や治療明細が必要となるため、そこで初めて「実は加入前にも同じ病気で通院していた」ことが判明し、告知義務違反に問われるケースがあるのです。
善意の記載ミスでも違反になるの?
意図的に虚偽申告した場合は当然違反となりますが、「記憶違い」や「病名を知らなかった」「告知の必要があると知らなかった」など、悪意がなかったとしても内容に誤りがあれば告知義務違反に該当することがあります。
とはいえ、保険会社によっては「軽微な違反(悪意なし)」と判断された場合、契約解除や支払い拒否には至らないケースもあります。そのため、あいまいな点があれば事前に問い合わせたり、健康診断結果などを手元に用意して正確に記載するのが安全です。
告知内容に不安がある場合の対処法
・過去5年以内に病院へ行った記憶があれば、受診履歴を整理しておく
・「○○の治療は不要」と自己判断せず、すべて申告する
・疑問点は申込前に保険会社や代理店に相談する
・診断名や症状を明確にするため、診療明細や検査結果を活用
また、一部の保険では「告知不要型」や「持病があっても入りやすい」タイプもあるので、不安な場合はこうした商品を検討するのも一つの方法です。
実際に起こった告知義務違反の事例
事例1:過去に腰痛で数回整形外科に通ったことを忘れて未告知→契約から2年後、椎間板ヘルニアで手術し保険金を請求→保険会社が調査し、過去の腰痛通院歴を確認→「同一部位の既往歴未告知」とされ、保険金の支払いを拒否された。
事例2:高血圧の治療歴を「健康診断だけ」として未告知→降圧剤の服薬履歴が薬局記録で発覚→契約解除にはならなかったが、保険金支払いは制限された。
まとめ:不安な場合は“正確・丁寧”を心がける
保険の告知義務は非常に重要な項目で、申込時には自己申告に基づいて審査が行われ、請求時に初めて詳細な調査が行われるというのが一般的な流れです。うっかり忘れや誤解による記載ミスでも、将来的にトラブルとなることがあるため、告知内容には細心の注意を払いましょう。
「これは申告すべきか迷う」と思ったら、必ず事前に保険会社に相談するのがベストです。正直に申告したほうが、安心して契約を維持できます。
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