転職や退職をした際に、健康保険の切り替えがスムーズにいかず「無資格期間」や「二重払い」が発生してしまうことがあります。特に全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入する際、加入日や保険証発行のタイミングにズレがあると混乱を招きやすいです。本記事では、健康保険の加入時に起きやすいトラブルと、その対処法について解説します。
「マイナ保険証」と「実際の保険資格」は別物
マイナ保険証はあくまでマイナンバーカードと健康保険情報を紐づけて使用するツールです。マイナポータルに反映されている加入日などの情報は「申請ベース」であり、実際の保険資格の有無とはタイムラグが生じることがあります。
例えば、マイナ保険証に「4月1日加入」と表示されていても、事業所がその申請を遅延したり、協会けんぽ側で処理が滞ると、保険証の交付や保険料控除が後手になり、結果として「無資格扱い」の期間が発生する可能性があります。
「無資格期間」の発生はなぜ起こる?
無資格期間が起こる典型例には以下のようなケースがあります。
- 新しい勤務先での健康保険加入手続きが遅れた
- 前職の資格喪失日と新職場での資格取得日に空白がある
- 国民健康保険への切り替えがスムーズにいかなかった
今回のように、前職の保険が1月末で終了し、3月から新しい職場に入ったが4月加入扱いだった場合、2月〜3月の期間に「無資格状態」が発生する可能性があります。
「給与天引き」と「実際の保険資格」もズレることがある
勤務先から保険料が天引きされている=必ずしもその時点で資格がある、とは限りません。事業所がまとめて後から加入申請を行い、さかのぼって天引き処理を行う場合もあります。
このズレにより、従業員には「既に加入済み」と誤認されるケースがあるため、加入日や資格取得証明書の発行状況は会社に直接確認することが重要です。
「二重支払い」になってしまった場合の対処方法
もし国民健康保険と協会けんぽの保険料を二重で支払っていた場合、どちらかが遡って無効扱いになり、返金対応されることがあります。
以下の対応を行いましょう。
- 新しい職場からの「健康保険資格取得証明書」を取得する
- 自治体の国民健康保険窓口へ証明書を提出し、脱退処理と返金請求を行う
- 協会けんぽへも、支払い履歴と資格証明の確認を依頼する
無資格期間があったと通知されたらどうする?
通知書に記載されている内容を元に、どの保険に加入していたか時系列を整理することが大切です。
例:
・1月31日:前職の退職により保険資格喪失
・2月1日〜3月31日:国民健康保険に加入
・4月1日:協会けんぽ加入(だが実際の申請が遅れた)
この流れであれば、無資格期間は存在しないため、国民健康保険側へ加入記録と支払い実績を提出すれば訂正が可能です。
まとめ:焦らず確認・交渉すれば解決可能
健康保険の加入・切り替えの際には、制度の複雑さから「マイナ保険証と実際の資格がずれている」「無資格扱いされた」「二重払いになってしまった」といったトラブルが発生しがちです。
大切なのは証拠をそろえて、勤務先・自治体・協会けんぽに丁寧に確認を取ることです。適切な手続きを行えば、返金や訂正が受けられる可能性は十分ありますので、ひとつずつ解決していきましょう。
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