直腸がんの治療過程でストーマ(人工肛門)を装着するケースは少なくありません。そして、その状態によっては障害年金を受給できる可能性もあります。本記事では、ストーマ装着後に閉鎖手術を受けた場合でも障害年金の申請が可能かどうかについて、実例や申請のポイントを交えて詳しく解説します。
障害年金とは?対象となる障害の範囲
障害年金は、病気やケガによって日常生活や就労に支障がある場合に支給される年金制度です。直腸がんやストーマ装着も、一定の条件を満たせば対象になります。ポイントは、障害の状態が「認定日」において一定以上であるかどうかです。
この認定日は、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「それ以前に症状固定された日」です。
ストーマ装着と障害認定の基準
ストーマ装着状態は、厚生労働省の「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」においても明確に規定されています。たとえば「永久的な人工肛門造設」は原則として障害等級3級に該当します。
6か月以上のストーマ装着実績がある場合、それを根拠に障害認定を受けることは理論上可能です。ただし、その後にストーマを閉鎖してしまった場合、「認定日」にその状態であったかどうかが重要になります。
閉鎖手術後でも障害年金は申請可能?
結論から言えば、ストーマを閉鎖した後でも障害年金の申請は可能です。ただし、それが「認定日」以降であれば、認定日における障害状態を証明するための「認定日請求」または「事後重症請求」の形で申請する必要があります。
たとえば、ストーマ装着開始が初診日から半年後、装着期間が1年だった場合、初診日から1年6か月後が認定日となり、その時点でストーマがあれば有利に働きます。閉鎖後であっても、その時点の診断書で装着状態や生活状況が記録されていれば有効です。
ストーマ閉鎖後も状態が悪ければ可能性は残る
ストーマを外した後でも、排便障害や術後の合併症により日常生活に重大な支障がある場合は、別の障害認定基準に基づいて申請できます。たとえば、「排便機能障害」や「直腸機能障害」として認定される場合もあります。
このようなケースでは、医師による詳細な診断書が必要となり、障害の程度を具体的に証明できることが鍵になります。
申請に必要な書類と流れ
- 初診証明書(初診医療機関で発行)
- 診断書(認定日または現在の状態に応じたもの)
- 病歴・就労状況等申立書
- 年金加入記録
また、年金事務所での相談予約や、社会保険労務士に依頼することで申請の精度を高めることができます。
まとめ:閉鎖後でも諦めずに申請を
ストーマを閉鎖した後でも、障害年金の申請は可能です。重要なのは「認定日」にどのような状態であったか、現在の生活への影響がどの程度かを的確に証明することです。
直腸がんの治療後も生活に大きな支障がある場合、障害年金は非常に心強い支援制度となります。迷ったら年金事務所や専門家に相談し、可能性を広げていきましょう。
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