精神障害で障害年金を受給中に身体障害が発生した場合はどうなる?等級・初診日・受給資格の扱いを解説

年金

障害年金は「精神障害」や「身体障害」などの区別にかかわらず、日常生活や労働能力への支障がある場合に支給される制度です。しかし、精神障害で既に障害年金を受給している方が、後から身体障害を発症した場合、その後の取り扱いがどうなるのか不安に思う方も多いでしょう。本記事では、複数の障害が重なるケースでの制度の考え方や注意点について解説します。

障害年金はどちらの障害が「優先」されるのか?

原則として、障害年金は初診日の基礎年金制度(厚生年金・国民年金)に基づいて決定されます。

つまり、最初に受給資格を満たした障害(この場合は精神障害)がもとになり、その障害に対して支給されている年金が「基本」となります。後に別の障害(身体障害)が加わっても、既存の年金を取り消されたり、他の制度に切り替えられたりするわけではありません。

複数の障害がある場合の「併合認定」とは

精神と身体の両方に障害がある場合は、「併合認定」の対象となることがあります。これは、各障害の影響を総合的に評価して、より高い等級で支給される可能性がある仕組みです。

たとえば、精神障害で2級を受給中に身体障害が加わり、併合認定によって1級相当と判断された場合、年金額が増額されることもあります

ただし、併合認定を受けるには、追加の診断書や病歴の提出が求められ、申請は原則として本人から行う必要があります。

身体障害の障害年金にも初診日要件はある?

はい、あります。身体障害で新たに障害年金を申請する場合にも、初診日要件と保険料納付要件を満たす必要があります。

初診日要件:障害の原因となった病気やケガの治療を最初に受けた日が明確であること。

保険料納付要件:初診日のある月の前々月までの1年間に未納がない、または納付済期間が全体の3分の2以上あること。

この点において、過去に厚生年金に加入していた期間に発症していれば、その基礎に基づいて申請が可能です。しかし、すでに退職後で国民年金に切り替わっていて納付要件を満たしていない場合、新たな障害年金の申請は不利になる可能性もあります。

年金制度が変わることはある?厚生年金から国民年金へ?

受給中の障害厚生年金が、後から国民年金の制度に切り替わることは基本的にありません。障害年金は「初診日ベース」で支給制度(厚生 or 国民)が決まるため、現在の健康保険(国民健康保険)とは無関係です。

つまり、身体障害を新たに申請したとしても、それが国民年金ベースであっても、既存の障害厚生年金の支給には影響を与えません。

申請するなら、どんな点に注意すべきか?

  • 現在受給中の等級や障害の内容を明確にしておく
  • 新たな障害に関する初診日がいつであるか、保険加入状況とあわせて確認
  • 併合認定を希望する場合は、診断書を含めた詳細な提出資料の準備が必要
  • 社会保険労務士や年金事務所に相談するのも有効

特に複数障害が関わるケースは制度が複雑になるため、専門家の助言を受けることでスムーズな手続きが可能になります。

まとめ:精神・身体障害が重なっても既存の年金は継続。状況次第で併合認定の可能性も

精神障害で障害厚生年金を受給中に身体障害が加わっても、既存の年金支給に影響はありません。ただし、併合認定や新たな障害年金申請を行う場合は、初診日や納付要件に改めて注意が必要です。制度を正しく理解し、不安がある場合は迷わず専門機関に相談しましょう。

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