病気やけがで働けなくなった際の生活を支える制度として「傷病手当金」がありますが、契約社員や更新月を迎える方にとっては、退職との関係で受給がどうなるのか不安を感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、契約社員が休職中に退職した場合の傷病手当金の取り扱いや、契約更新がされなかった場合の対処法について詳しく解説します。
傷病手当金とは?基本的な仕組み
傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が業務外の病気やけがで働けなくなり、給与の支給がない場合に支給される生活補償制度です。支給額は、標準報酬日額の約3分の2相当で、最長1年6か月受け取ることができます。
ただし、一定の条件を満たしている必要があり、受給中に会社を退職した場合は要注意です。
退職しても傷病手当金は受給できるのか?
結論から言うと、受給開始後であれば退職しても引き続き受給可能です。ただし、いくつかの条件を満たしている必要があります。
- 退職日時点で引き続き傷病手当金を受給中であること
- 退職後も治療のために労務不能状態が続いていること
- 退職日までに被保険者資格があること(社会保険に加入していたこと)
これらを満たしていれば、会社を辞めた後でも、最長1年6か月間、継続して傷病手当金を受け取ることができます。
契約更新されない場合はどうなる?
契約社員の場合、更新月(今回のケースでは10月)に契約が更新されなければ自動的に雇用終了となり、退職扱いになります。
更新されなかったとしても、上記のように「退職前に傷病手当金の支給が開始されていれば」、その後も引き続き支給されます。
ただし、契約終了日までに「傷病手当金の申請を行い、実際に受給が始まっている」ことが大切です。申請が間に合わない場合や不備があると、退職後の受給が認められない可能性もあるため、注意しましょう。
退職後の健康保険の継続が重要
退職後に傷病手当金を受給し続けるためには、「任意継続被保険者」になる必要はありません。退職時にすでに受給中であれば、被保険者資格を失っても継続受給が可能です。
ただし、任意継続や国民健康保険に加入していない場合、健康保険証が使えなくなるため、医療費が全額自己負担になることに注意が必要です。
契約終了前にしておくべき対策
契約満了や退職予定の方が傷病手当金を受ける場合、以下の準備をおすすめします。
- 傷病手当金の申請書類を早めに提出し、退職前に支給開始を確認
- 主治医からの証明書類を定期的に準備する
- 会社側に退職予定日や書類提出のスケジュールを共有する
また、退職後も連絡が取れるようにしておくことが、スムーズな継続受給に繋がります。
まとめ:退職後も正しく手続きすれば継続可能
契約社員であっても、退職時点で傷病手当金の支給が開始されていれば、その後も受給を続けることができます。ただし、退職前の準備や申請手続きが極めて重要です。
契約更新の有無に不安がある場合は、会社の人事や健康保険組合に早めに相談し、確実な手続きを行いましょう。公的制度を上手に活用して、安心して療養に専念できる環境を整えることが大切です。
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