自動車保険において「等級」や「事故有係数適用期間(事故有期間)」の引き継ぎは保険料に大きな影響を与える要素です。特に契約者を親から子へ変更するケースでは、等級の扱いや事故歴の継承の有無に戸惑う方も少なくありません。この記事では、契約名義変更時の等級や事故歴の引き継ぎについて、実際の制度に基づいて詳しく解説します。
そもそも「等級」とは?
自動車保険の等級とは、保険の継続年数や事故歴に応じて設定される割引・割増の基準です。新規契約は通常6等級からスタートし、1年無事故ごとに等級が1つずつ上がり、最大20等級まで存在します。事故を起こすと1〜3等級ダウンし、一定期間割増の「事故有係数」が適用されます。
「事故有係数適用期間」とは何か?
事故有係数適用期間(いわゆる「事故有期間」)は、事故を起こした際に付加される加算リスクのようなものです。事故を起こすと、この事故有係数が1〜3年間適用され、その間の保険料が割高になります。等級が上がっても、事故有期間中は本来の割引率が適用されません。
契約者変更で等級・事故有係数はどうなる?
親の契約を子へ変更する際、「記名被保険者」と「契約者」の名義を両方変更すると、等級や事故有係数が引き継がれる可能性があります。これを「ノンフリート等級の引継ぎ」といい、同居の親族間や配偶者間であれば通常は引継ぎ可能です。ただし、「等級は引き継がれるが、事故有係数も引き継がれる」という点が注意点です。
つまり、新たに自分名義で契約しようとしても、母の等級(例:8等級事故有2年)がそのまま反映され、事故有のペナルティも付いてきてしまうケースがあります。
新規契約で等級をリセットする方法はある?
どうしても事故有係数を避けたい場合、完全に新規契約(6等級)として始めることは可能です。ただし、同居の親族間での名義変更や車両入替では、保険会社が等級と事故有期間を引き継ぐのが一般的な運用です。
事故有係数をリセットしたいなら、全く新しい車両で、なおかつ本人が独自に新規契約を行い、親の契約とは一切関係ない形にする必要があります。その際、親の保険との関係を明記しないこともポイントです。ただし、これが可能かは保険会社の判断によるため、事前に確認しましょう。
ディーラーが言っていた「事故歴の引き継ぎ」は本当か?
結論から言えば、ディーラーの説明は正しい場合があります。等級と一緒に事故有係数が引き継がれるのは保険業界の共通ルールであり、名義変更だけで事故歴をリセットすることはできないのが一般的です。
そのため、事故有係数を避けたい場合は、一切の引き継ぎを行わない形での新規契約が求められます。
まとめ:等級を引き継ぐなら事故有期間もセットで引き継がれる
自動車保険の契約者変更は簡単に見えて、等級や事故歴の扱いに注意が必要です。親から子へ等級を引き継ぐ場合、事故有係数もそのまま引き継がれるのが通常です。
事故歴を引き継ぎたくない場合は、新規契約扱いで申し込み、6等級からスタートするのが一般的な対応です。判断に迷ったときは、保険会社やファイナンシャルプランナーに相談するのが安心です。
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