確定申告と市区町村発行の所得証明書で基礎控除額が異なる理由とは?制度の違いと確認ポイントを解説

税金

確定申告後に市区町村で発行された所得証明書を確認すると、税務署の控えと「基礎控除」の金額が違っていて驚いたという方は少なくありません。これは市区町村のミスなのか、それとも制度上の違いなのでしょうか?この記事では、確定申告書の控えと所得証明書で金額が異なる理由や背景について、税制の仕組みを踏まえて解説します。

所得証明書と確定申告書の違いとは?

確定申告書は、国税庁が管轄する税務署に提出するもので、所得税や控除額を正確に計算したものです。一方、所得証明書(課税証明書)は、主に市区町村が住民税の計算や行政手続きに使用する目的で発行する証明書です。

この2つは目的も管轄も異なるため、記載される内容や控除の反映タイミングなどにズレが生じることがあります。

基礎控除の金額が異なる主な理由

所得証明書と確定申告控えの基礎控除額が異なる場合、その原因として最も多いのは「所得の額」による基礎控除の金額の調整です。令和2年分以降、基礎控除は一律48万円ではなく、所得の合計額に応じて段階的に減額される仕組みになっています。

たとえば、合計所得金額が2,400万円以下であれば48万円ですが、所得が増えると基礎控除額は43万円、29万円、0円と段階的に下がります。市区町村側の所得計算方式とタイミングにより、この減額が適用されている可能性があります。

市区町村による独自計算の影響

市区町村は、住民税の課税計算において、国税庁とは若干異なる計算基準を採用することがあります。たとえば、課税の基準となる「所得金額等」の算出に使う所得控除のタイミングやデータ反映の時期がずれていると、控除額が異なることがあります。

また、確定申告後に修正や追加があった場合、その情報が市区町村に伝わるまでに時間がかかることがあるため、最新の申告情報が反映されていない証明書が発行されることもあります。

具体的な数値の差異例とその考察

たとえば、以下のようなケースでは控除額の違いが生じることがあります。

項目 税務署の控え 市役所の証明書
収入金額等 1,703,631円 1,703,631円
所得金額等 1,120,000円 1,120,000円
社会保険料控除 377,082円 377,082円
生命保険料控除 14,762円 14,762円
基礎控除 48万円 43万円

このように、基礎控除だけが異なっている場合、市区町村側が住民税の計算基準に基づいて減額していることが多いです。所得金額が一定ラインを超えていると市区町村側の控除額が自動で減額されることがあります。

ズレが気になる場合の確認方法と対応

控除額に違いがあり納得できない場合は、まずは市区町村の税務担当窓口に控除額の算出基準について問い合わせるのが良いでしょう。その際、確定申告書の控えや修正履歴がある場合は一緒に持参することをおすすめします。

また、特にe-Taxを利用して申告した場合、市区町村へのデータ連携にラグが生じる可能性があるため、「所得証明書の再発行」を依頼することで最新の申告内容が反映された証明書を受け取れることもあります。

まとめ:税務署と市役所で数字が違うのは制度上の違いが理由

確定申告書と所得証明書の控除額が異なるのは、市区町村と税務署の制度や計算基準の違いによるものであり、必ずしもどちらかがミスをしているというわけではありません。ズレが気になる場合は、双方に確認することで正確な理解が得られます。

所得証明書を使う場面では、利用先にどの情報が必要なのかも確認したうえで、必要に応じて再発行や説明文書の添付を検討しましょう。

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