学生時代に国民年金の学生納付特例制度を利用していた方が社会人になった後、「未納分を支払うべきかどうか」で迷うのは自然なことです。将来の年金額や損得、手続き方法について丁寧に解説します。
学生納付特例とは?未納と免除の違い
学生納付特例制度とは、20歳以上の学生が収入要件を満たせば国民年金保険料の納付を猶予できる制度です。猶予中は「未納」ではなく「保険料未納扱いとはならない」ものの、将来の年金額には反映されません。
重要なのは、後から10年以内なら追納できるという点です。これにより将来受け取る年金額を満額に近づけることができます。
追納するメリットとデメリット
メリット:
- 将来の年金受給額が増える
- 老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金の受給要件を満たしやすくなる
- 所得控除(社会保険料控除)で節税効果もある
デメリット:
- 過去の保険料を追納するため、通常より割高(加算金あり)
- 支払っても将来の年金制度が不透明
2025年度の時点では、追納保険料は当時の金額+年ごとの加算額(数百円)となっており、早めの支払いがコストを抑えるコツです。
実例で見る:追納による年金額の差
たとえば、2年間の学生納付特例分を追納すると仮定します。
月額16,590円×24ヶ月=約398,160円を支払うことで、将来の年金が年間約39,000円程度増える可能性があります(1年あたり年金額に換算して約19,500円)。
20年以上年金を受け取ると、元は取れる計算です。
手続き方法:どうやって追納すればいい?
追納手続きは非常にシンプルです。以下のステップで行います。
- 年金事務所または市区町村役場へ連絡・来所
- 学生納付特例期間の確認を依頼
- 追納の申請書類を記入・提出
- 納付書が郵送されるのでコンビニや銀行で支払い
一括でなくても、月単位での分割納付が可能です。家計状況に合わせて無理のない範囲での追納も選べます。
支払うべきか迷ったときの判断軸
✔ 老後の備えを充実させたい → 追納を検討
✔ 今の家計に余裕がない → 収入が安定してから少しずつ
✔ 将来年金制度がどうなるか不安 → 節税効果を優先に考える
単に“払うか払わないか”ではなく、税控除と将来の安心感のバランスで判断することが大切です。
まとめ
● 学生納付特例は未納ではないが年金額に反映されない
● 追納することで将来の年金額が増え、障害・遺族年金にも有利
● 所得控除で税金も軽減できる
● 時間が経つと保険料が割高になるので、早めの行動が得
老後に備える第一歩として、まずは年金事務所で相談だけでもしてみるのがおすすめです。
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