会社を退職したあと、「健康保険に入っていないから保険料は発生しない」と思っている方も少なくありません。しかし実際には、国民健康保険に関する制度上のルールによって、加入していないつもりでも保険料の請求が来ることがあります。本記事では、退職後に保険未加入のまま過ごした場合の保険料の発生や注意点について詳しく解説します。
会社退職後は自動的に「健康保険なし」になる
会社の健康保険(社会保険)は、退職と同時に資格を喪失します。3月末で退職した場合、3月31日をもって社会保険の被保険者資格が終了します。
そのため、4月1日以降は「無保険状態」になり、いずれかの健康保険(国民健康保険や任意継続)に加入する手続きが必要になります。
国民健康保険は「加入日=資格喪失の翌日」から
国民健康保険は、住民票がある市区町村で加入しますが、その保険資格は前の保険の資格を喪失した翌日にさかのぼって発生します。
つまり、3月末に退職して4月以降未加入のつもりでいても、6月に手続きした場合、「4月1日付けで国民健康保険に加入していた」とみなされ、4月・5月分の保険料も請求されることになります。
「保険に入っていなかった」のではなく「未申告」扱い
このようなケースでは、加入手続きが遅れているだけで、「未加入」ではなく「遡及加入」と扱われます。市区町村では住民基本台帳や社会保険資格喪失情報をもとに、保険加入の有無を確認します。
そのため、実際に病院へ行っていなくても保険料は発生します。これが「使っていないのに請求が来た」と感じる理由です。
保険料の金額はどう決まる?
国民健康保険料は、前年の所得や世帯構成などをもとに計算されます。加入月数に応じて月割りされるため、4月・5月分も含めてしっかり請求されることになります。
実例:退職後4〜6月に手続きせず、6月に国保加入した場合→「4・5・6月分」の3か月分を一括請求されることがあります。
知らずに放置した場合のリスク
国民健康保険に未加入のままでいると、万が一医療機関を受診する際に10割負担となり、医療費の全額を自費で支払うことになります。
また、未納が続くと、保険証が交付されなかったり、差押え等の行政処分が発生するリスクもあるため、放置は禁物です。
まとめ
会社を3月末に退職した後、健康保険に加入せず6月まで過ごしていた場合でも、原則として4月1日から国民健康保険の加入扱いとなり、4・5月分の保険料も請求されます。
- 社会保険を喪失した翌日から国保加入とみなされる
- 加入手続きが遅れても保険料は遡って発生
- 使っていなくても保険料の支払い義務はあり
できるだけ早めに役所で手続きを行い、不要な滞納や追徴を避けましょう。
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