サラリーマンが副業として開業届を提出するケースが増えています。しかし、副業としての開業がその後の失業保険や税務にどのような影響を与えるのか、事前に知っておくことが重要です。本記事では、開業届提出に関する注意点や想定されるデメリットを解説します。
開業届を出したまま失業保険を受け取ることはできる?
基本的に、失業保険(雇用保険の基本手当)は「働く意思と能力があり、かつ就職活動を行っている状態」でないと支給されません。開業届を提出していると、「自営をしている」とみなされる可能性が高く、原則として失業保険は受給できません。
ただし、副業を辞めて事業を廃止し、開業届を取り下げた場合(税務署に「廃業届出書」を提出)、失業状態とみなされる可能性があります。その上でハローワークに相談し、条件を満たせば受給対象となる場合もあります。
廃業届の提出で失業手当を受け取れる可能性
開業届を出していた副業をやめる場合、「個人事業の廃業届出書」を税務署に提出する必要があります。その上で、以下の要件を満たせば、失業手当の受給が可能になることがあります。
- 完全に事業を終了している
- 実際に収入を得ていない
- 再就職の意思がある
廃業届提出後、ハローワークで事業廃止の確認が行われます。事業実態がないと認められれば、失業手当の支給が再開される可能性があります。
その他のデメリット
開業届を提出すること自体は法律上の義務ではありませんが、提出することで発生する注意点もいくつかあります。
- 住民税の申告・納付が必要:事業所得があるとみなされ、確定申告の結果によっては住民税が高くなることがあります。
- 国民健康保険や国民年金への影響:本業を辞めた際、会社の社会保険から外れると、個人での加入に切り替わり、所得が高いと保険料も高額になることがあります。
- 青色申告の義務:開業届と共に青色申告承認申請書を提出した場合、一定の帳簿付けと申告義務が発生します。
- 雇用調整助成金などの対象外:自営業者は雇用保険に加入できないため、雇用者向けの補助制度が利用できません。
副業で開業する際の判断基準
副業が月数千円〜数万円程度の規模であれば、開業届を出すメリットは少ないかもしれません。青色申告の節税効果を受けたい場合や、事業拡大を目指す場合には有利になりますが、失業保険や社会保障との兼ね合いを考慮し、判断することが大切です。
また、本業の勤務先の副業規定も必ず確認し、就業規則に違反しないようにしましょう。
まとめ
開業届を提出すると、自営業者としての扱いになり、失業保険の受給に影響が出る場合があります。ただし、副業を辞めて廃業届を提出すれば、失業保険を受け取る道は残されています。開業の前には、税務と社会保障の影響をしっかり理解した上で判断しましょう。
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