障害年金を受給している配偶者が亡くなった場合、その年金を生き残った配偶者が「受け継げるのか」と悩む方は少なくありません。特に障害のある方にとって、配偶者の年金は生活の支えとなる重要な収入源です。本記事では、障害年金が相続できるのか、代わりに受け取れる年金制度があるのかについて、制度の仕組みを交えて解説します。
障害年金は相続できない
まず明確にしておきたいのは、障害年金は「本人に支給される年金」であり、相続や継承はできません。たとえ配偶者であっても、受け継ぐことは法律上できない仕組みになっています。
障害年金は、障害を持つご本人の生活保障を目的としているため、その方が亡くなった時点で支給は終了します。
代わりに受け取れる可能性がある「遺族年金」
配偶者が障害年金を受給していた場合、その方が亡くなると、遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取れるケースがあります。ただし、遺族年金は条件付きで支給されるため、以下のような基準に注意が必要です。
- 遺族基礎年金:18歳未満の子どもがいる配偶者が対象
- 遺族厚生年金:死亡した方が厚生年金に加入していた期間があり、その扶養に入っていた配偶者(一定条件あり)
つまり、子どもがいない夫婦で妻が障害基礎年金のみを受給していた場合、夫に年金が継承されることはありません。
夫自身が障害を持っている場合の支援制度
もし夫が障害を持っており、まだ障害年金を受給していない場合は、自身で障害年金の受給申請を行うことができます。以下の条件を満たしているか確認しましょう。
- 初診日要件:障害の原因となった病気やけがの初診日が年金加入中であること
- 保険料納付要件:初診日の前日時点で保険料納付済み期間が一定以上であること
- 障害認定日または現症日で所定の障害等級(1級または2級)に該当すること
申請には、日本年金機構の公式サイトで案内されている書類の提出が必要です。
障害者の生活支援制度を活用しよう
配偶者を失った障害者の方には、障害年金以外にもさまざまな生活支援制度があります。
- 生活保護:収入が基準以下の場合に、生活費を支援
- 障害者手帳による各種割引:交通機関や医療費の減免
- 特別障害者手当:重度障害者に支給される定額手当
市区町村の福祉課に相談することで、利用できる制度の案内を受けることが可能です。
まとめ:障害年金は引き継げないが、他の制度に注目
障害年金は個人に支給されるため、配偶者が亡くなっても引き継ぐことはできません。しかし、遺族年金や障害年金の新規申請、生活支援制度を活用することで、一定の生活支援を受けられる可能性があります。
不安がある方は、日本年金機構や地元の年金事務所、または障害年金に詳しい社会保険労務士などに早めに相談されることをおすすめします。
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