一生涯保障が続く「終身保険」は、死亡時に高額な保険金が支払われる安心感がある一方で、毎月の保険料負担も大きくなる商品です。例えば、40歳で加入し、死亡保障6000万円の終身保険に加入したところ、月々の保険料が7万円という試算が出たとします。このとき「合計でどれくらい払うことになるのか?」「それに見合った保障なのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、実際の支払総額や受取金額、保険の仕組みと選び方について詳しく解説します。
終身保険の基本構造を理解する
終身保険とは、文字通り「一生涯にわたって保障が続く」保険です。加入者が何歳で亡くなっても、契約時に定めた金額(この場合は6000万円)が必ず支払われます。
この保障を維持するため、月々の保険料は掛け捨て型より高くなるのが一般的です。保障額・加入年齢・性別・健康状態などによって保険料は変動します。
また、多くの終身保険は「解約返戻金」や「貯蓄性」を持ち、途中解約時には一部資金を戻せる設計になっています。
実例:月7万円の保険料×40年間支払うとどうなる?
質問のケースでは、40歳から月々7万円の保険料を支払った場合、80歳時点まででの支払総額は以下の通りです。
7万円 × 12ヶ月 × 40年 = 約3,360万円
つまり、支払った保険料の総額は約3,360万円。それに対して、保険金は死亡時に一括で6000万円支払われる設計です。
この差額から「お得に感じる」かもしれませんが、実際には以下のポイントも加味して判断する必要があります。
「支払額<保障額」でも即得とは限らない理由
一見すると、3,360万円の支払いで6000万円の保障が得られるため「約2倍近く戻ってくる」と思うかもしれません。しかし、以下の点を考慮する必要があります。
- 生きている限り保険金は支払われない(=自分では使えない)
- 途中で解約すると元本割れになる場合もある
- 金利や資産運用の視点から見たら、他の選択肢もあり得る
例えば、毎月7万円を40年間、年利3%で投資運用できた場合、複利の力で資産は約6,700万円以上に達する可能性があります。
つまり、死亡時にしか受け取れない保険金と、自分の生涯を通じて使える資産形成では意味が異なるのです。
この保険設計が向いている人・向いていない人
このような高額終身保険が向いているのは以下のようなケースです。
- 相続対策として死亡保険金を用意したい人
- 自分に万が一があったときに家族へ十分な資金を残したい人
- 資産を現金で保有するより節税や保全を重視する人
一方、以下に当てはまる人には、もっと別の選択肢も検討する価値があります。
- 独身または家族に経済的に頼られていない
- 若いうちにライフプランが変わる可能性が高い
- 資産形成を重視していて自分で運用したい
もっと柔軟な保険プランを検討するには
保険に加入する際は、以下のような選択肢も検討してみましょう。
- 掛け捨て型の定期保険:必要な期間だけ安価な保険料で保障を確保
- 低解約返戻型の終身保険:保険料を抑えつつ将来の解約返戻金を期待
- 医療保険やがん保険などへの分散:保障の種類を目的別に分ける
特に保険は「目的」によって設計が変わります。死亡保障、医療費準備、資産運用など、それぞれに最適な商品があります。
まとめ:支払額だけでなく「目的」と「使い方」で判断を
40歳から月々7万円を支払い、死亡時に6000万円の保険金を受け取る設計は、一見魅力的に映りますが、それだけで判断するのは早計です。自分の人生設計やお金の使い道、家族への想いなどを踏まえて、保険の目的を明確にすることが重要です。
高額な保険料を長期にわたって支払い続ける以上、加入前には複数のプランを比較し、必要であればFP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談するのがおすすめです。
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