会社勤めをして厚生年金に加入していた人が、退職や転職をきっかけに国民年金に切り替えることは珍しくありません。その際、「これまで払っていた厚生年金はどうなるのか」「将来年金として受け取れるのか」と不安に感じる方も多いでしょう。この記事では、厚生年金から国民年金へ移行した場合の年金受給の仕組みと注意点についてわかりやすく解説します。
厚生年金を辞めても納付済み分は無駄にならない
厚生年金は、加入期間中に支払った保険料が将来の年金受給額に反映されます。つまり、会社を辞めて厚生年金の加入が終了しても、それまでに支払った分は記録として残り、老後の「老齢厚生年金」として受け取ることができます。
この仕組みは「年金記録管理システム」によって一元的に管理されており、厚生年金の納付実績が失われることはありません。
切り替え後は国民年金(老齢基礎年金)も継続して加入
退職して厚生年金を抜けた場合、基本的には第1号被保険者として国民年金に加入します。国民年金では、老後に「老齢基礎年金」が支給されます。したがって、国民年金への切り替え後も保険料を納め続けることで、将来的には「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の両方を受け取ることができます。
たとえば、会社員時代10年間厚生年金に加入し、その後20年間国民年金を払った場合、老後にはそれぞれの加入実績に応じて2つの年金が支給されることになります。
厚生年金と国民年金は「二階建て構造」
日本の公的年金制度は「二階建て構造」と呼ばれています。1階部分がすべての人が加入する国民年金(基礎年金)、2階部分が会社員などが加入する厚生年金です。厚生年金に加入していた期間は、基礎年金に加えて厚生年金分も上乗せして支給される仕組みです。
このため、厚生年金に加入していた期間が長いほど、将来受け取れる年金額は増える傾向にあります。
年金記録の確認と手続きのポイント
厚生年金から国民年金へ切り替えた場合、自分の年金記録が正確に反映されているかを定期的に確認することが大切です。「ねんきんネット」や毎年届く「ねんきん定期便」を活用して、自身の加入履歴や見込額を把握しましょう。
また、転職や退職時に切り替え手続きをし忘れると「未納期間」が発生してしまうこともあります。市区町村役場での国民年金の切り替え手続きは速やかに行いましょう。
まとめ:厚生年金は切り替えても将来の財産に
これまでに支払った厚生年金の保険料は、たとえ退職して国民年金に切り替えても無駄になることはありません。将来は「老齢厚生年金」としてしっかりと支給され、さらに国民年金加入期間に応じた「老齢基礎年金」も受け取ることができます。
安心して老後を迎えるためには、年金制度の仕組みを理解し、自分の記録をこまめにチェックすることが重要です。
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